劇場公開日 2012年3月1日

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「愛に溢れている」ヒューゴの不思議な発明 白波さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0愛に溢れている

2020年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

2012年3月劇場鑑賞
スコセッシは私が一番好きな監督で、今回のキービジュを見た当初は「え?」って感じでした。
ゴリゴリと掘下げる苦悩する心の内や、遠慮の無い暴力描写等を常とする監督とは正反対に位置する作風です。本当驚きました。
そういえば「自分の子供に見せたい映画を作りたい」といった記事を見た記憶がうっすらとありましたが、これの事だったんですね。
本作はスコセッシ初の3D作品でもありました。
自分はと言うと3Dはディズニーランドのマイケルのヤツ以来です。
アバターは見そびれてしまった口ですし。
本編の前に色々と3D作品の予告もやってて、「わー、今の3Dは何だか凄ぇなぁ…」とか思いました。技術の進歩って素晴らしいですね。
で、本編が始まったらもっと驚きました。
さっきまで見ていた3Dとは別物の美しさ。舞台となる巴里の街並の俯瞰から、駅の構内の人並みを滑るようにすり抜ける映像は本当素晴らしかった!頭っからやられてしまった感じです!
随所に3Dをいかした色々な演出がありましたが、それを一番気持ち良く感じれたのは「雪」や「漂う埃」でした。
もの凄くその場の空気が感じられて、変な言い方かもしれないですけどとても落ち着くんですよね。
この話は亡くなった父との絆を探す冒険活劇だと思います、世の中的にはファンタジーの枠なんでしょうけど。
狭い世界で展開するロードムービーのようにも感じました。
あと、やたら個人的な気持ちですけど主人公ヒューゴの着ているニットがとても可愛くて、欲しくて欲しくてしょうがありませんでした。自分に似合うかは別な話で。
最初からでしたけど、本作はずっとワクワク感が凄かったです。
子供の頃の夏休みのような感覚が、映画を観ていると胸の奥からぴょこぴょこと顔を出して来ます。何だかやたら体がムズムズしました。
あと、この作品はもの凄く愛に溢れていて、それだけでも充分気持ち良いのに映画そのものに対する愛にも満ち溢れていました。
スコセッシって本当映画が好きなんだなって思いましたね。
ずっとドキドキしてて途中では涙も出て来て、ラストにはふわっとした暖かい気持ちになれる。そんな作品でした。
この日は久しぶりに素晴らしい映画を観れました、それがとてもうれしかったです。

白波