「絶望の中のあるかなきかの希望」ウィンターズ・ボーン lylycoさんの映画レビュー(感想・評価)
絶望の中のあるかなきかの希望
17歳の少女リーが置かれた状況はただただ絶望的に見える。序盤は周囲の大人たちの彼女に対する態度の頑なさに怒りを覚えるし、まったくゲンナリさせられる。けれどもそれは、端的には大人たちの弱さであり、貧困を犯罪で凌いできたようなその場所で生きてこざるを得なかった人々のやり切れなさでもあることが分かってくる。だから、それでも顔をあげて歩いていこうとするリーに、意を決して、あるいは消極的にでも、ギリギリのところで手を差し伸べる。そんな希望とも呼べないような希望の中で生きていく少女の、内面の靭さや感情の機微を余すところなく表現している、ジェニファー・ローレンスの演技がとにかく好い。
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