「天に挑み、暦を制す」天地明察 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
天に挑み、暦を制す
多くの賞に輝いた沖方丁の同名小説を、「おくりびと」の滝田洋二郎監督が、岡田准一&宮崎あおいの顔合わせで映画化。
江戸時代、算術と星々に長けた囲碁棋士・安井算哲が、紆余曲折を経て、日本に正しい暦を作るまでの話。
後に算哲は渋川晴海と名を改め、天文暦学者として名を知られる。
序盤は囲碁勝負や専門的な用語が飛び交い、少々小難しく感じたが、だんだんと作品世界に見入り、日蝕と絡めたラストには素直に感動。
多くの人との出会い、師への敬意と謙虚さ。
固定概念に縛られず見聞を広めた、学びの尊さ。
現代社会のような権力の圧力、それに屈しない困難に打ち勝つ強さ。
それらが丹念に描かれ、非常に後味がイイ。
岡田准一、難しい役をよく演じた!
支える妻・宮崎あおいにいつもながら癒される。
ユーモラスな笹野高史と岸部一徳は作品に弾みを付け、松本幸四郎と中井貴一はベテランらしく場を引き締め、公家人・市川染五郎(早く良くなってね)は憎々しく、皆それぞれ好演。
ちょっと大袈裟に感じたが、久石譲の奏でる音楽は清々しい。
滝田洋二郎、これぞ匠の技。
日本と日本人が美しい日本映画。
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