「雨のち晴れ」キツツキと雨 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
雨のち晴れ
武骨な木こりと気弱な新人映画監督が出会って、ちょっと何かが変わる。
沖田修一監督が贈る人間讃歌。
冒頭の役所広司の「はい? はい?」から笑える。
ゲラゲラではなく、クスクスと。
このシーンだけで、本作の雰囲気と、沖田監督の一貫して変わらぬスタイルが分かる。
都会人の図々しさ。
田舎人の人の良さ。
手助けしたら、あれやこれやと映画の撮影の手伝いをさせられるハメに。
当然嫌々面白くないのだけど、自分がちょこっと映ってるラッシュを見たら、何だかまんざらでもない。
それから自分から進んで撮影を手伝ったり。下らない内容の脚本に感動したり。
ここでいいのは、木こり・岸の立ち位置。
気弱な新人監督に変わって裏監督に…じゃなく、あくまで裏方に徹する。
岸の存在で、ピリピリしていた撮影現場及びクルーたちに活気が出てくる。
岸の応援で、村人たちもエキストラのお手伝い。
最も変化が表れたのは、新人監督・田辺。
監督なのにお荷物状態。
自分の意見も言えない。
何言ってるか分からないくらいボソボソ喋り。
周囲に流され、てんやわんや。
情けない験担ぎ。
所が所が、
痔持ちのベテラン俳優に撮り直しを要求する。
声も次第に大きくなっていく。
自分の意見や判断を持つようになる。
親子ほど離れた二人の父子のような交流。
岸自身にも、ぎこちなかった息子との関係に変化が訪れる。
大きな変化じゃなく、少しずつ、それでいて確かな変化。
こういう作風、ホント好きだなぁ。
さすが絶妙な名演の役所広司。
従来とは違うイメージで好演の小栗旬。
個性的なその他キャストも適材適所。
オリジナル脚本なのもポイント高い。
雨が降った後は必ず晴れる。
どんな大降りでも、一瞬晴れる時が来る。
温かな人と人の出会い。交流。
笑えて、心温まって、心地良い余韻が残る。
見て幸せな映画。
オールユーニードキルコメありがとうございます(=´∀`)人(´∀`=)♡
この作品こそ!日本映画の良さ出た映画ですよねぇ(´・Д・)」
今年もよろしくお願い申し上げます。