ももへの手紙のレビュー・感想・評価
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書きかけの手紙
野菜などを盗んだり、いたずらばかりの妖怪たち。もちろんももにしか見えない妖怪で、最初は怖がっていた彼女も通行手形を脅迫材料にして、自分の言うことを聞かせようとする。実は見守り妖怪として“空”から派遣されてきた妖怪だった。
ノスタルジーを感じさせる作品ではあるが、ストーリーそのものには奥深さがないところが残念なところ。働き者だが喘息もちの母親いく子。クライマックスではいく子の発作が起こり、強い台風のため医者を呼ぶことができない状況下。妖怪たちが禁じ手を破り、嵐の中を走るももたちを助けるという展開だ。面白くない中でも、妖怪のイワ(西田敏行)、カワ(山寺宏一)の存在感が面白かった。
レモン羊羹たべたい
最後はうおおーってなるがそれ以外は淡々としていて良かった。イワ・カワ・マメの3体とモモの交流を描いた作品。良作。
空から雨粒が3滴、モモの頭に落ちる。
大中小3個の水滴はその後もモモのあとをずっとついてくる。普通の人間には見えないのだが、モモの頭に触れたとかいう理由でモモだけが見えてる(他にも見える奴いるけど)
3体は妖怪の姿をしているが天からの使いみたいなもの。悪い事をして落ちぶれたとかの理由で人間を見守る役目。人間の手助けはできないルールで見守り報告するだけ。
ももの両親の初デートがウィーン少年合唱団だったので、父を喜ばせようとサプライズでチケットとったが急な仕事でいけないことになり、喧嘩になる。
→父死ぬ→ももへ。とだけ書かれた手紙が残されていた。
いろいろ誤解があって母親と気まずくなる
→母死にそうになる。
→ご禁制を破り3妖怪が仲間を呼んで皆の力を結集してモモを精一杯助ける。→母助かる
ご禁制を破り最後にもうひと仕事。天国の父からの返信が届くというラスト。
これ以外は妖怪が食べモノ探して騒がしくするだけ。
妖怪は人間じゃないから。
舞台は瀬戸内の島らしい。元々あり得ない話ではあったのだが、医師を探しに台風の中を行くシーンは荒唐無稽過ぎたと思うのだが。まあ真似は出来まい。それ以外は島の人達や妖怪たちといる中で成長して逞しくなっていく主人公の女の子が爽やかでさえある。しかし妖怪はどうにも盗みのような悪さが治らずにいたし、教育的には微妙なアニメ映画であった。妖怪なら許されるのかというか、言ってもきかないのだが、そう思いきや、別れが来る。困らせたのも妖怪、助けに行ったのも、自己都合はあったにせよ、妖怪。私のほうがこの映画よりも合理的思考なんだか。だけどあの世と地続きというのか天続きというのかそんなファンタジー。だけど夫婦の愛と親子の愛。周囲の人達の愛。妖怪の仕業なんて妖怪が見えない立場にとっては信じるほうが難しい。それでも咎め続けないで、人間同士はヒューマニズムだった。
ジブリの石景山遊楽園
物語の途中ここはポニョじゃないか? ここはトトロじゃないか?
とジブリ色濃厚の演出がどうしても気になる。
あとお母さんを助けるシーンがバッサリ抜かれているところが非常に残念!
搬送するシーンの次がもう回復したシーンって…
途中のギャグも非常につまらない。
最後のエンドロールで漸く泣けた…原由子の歌最高!
登場人物のリアル
現代っ子ってこういう動きするよなぁ、というももの再現率がまずすごい。
大人たちや知らない子たちの前では、つんとして愛想もなく、都会っ子丸出しの人見知り。でも、いざ母親の前や一人になると、だだをこねたり、畳の上でずりずり立ち上がらず動こうとしたり、おなか出して扇風機で涼んだり…一挙一動がすごくリアルでにやにやしてしまった。
ももと妖怪たちの関係も良くできていて、決して友情が芽生える訳でも、大好きになるわけでもない。お互いが自分たちの利益、損得のためにあくまで動いていて、でもほんの少し情は沸いている。そういうストイックさがまた好感。妖怪たちとの別れのシーンも、決して感傷的になりすぎないのが良い。台風のシーンものすごく格好よかった。
また、ももと陽太の関係もにやにやさせられる。陽太のキャラクターも非常にリアルで、なれなれしくしてくるわけではなくて、でも仲間外れなんて考えも及ばない感じが、島で、周囲の人間に囲まれて関わって育ってきた子なんだなぁ、としみじみ感じさせる。早く結婚しちゃえよ。
大きな感動シーンや泣きどころ、というのはなくぼんやりしていても観れてしまうけれど、良い映画だった。
あとトマトがすっごくおいしそう。
少し子供っぽいが、大人が観ても良いかもね!
「ももへの手紙」う~ん言いたい事はわかるのだけれども・・・
確かに、テーマ的には家族の絆の大切さや死別した家族への思慕や、後悔の気持ち、家族の中での言葉の行き違いから始まる、誤解などがきちんと解決されないままに、行き違いの状態のままで、死別してしまった事への深い後悔の念とやるせなさ
運命と言ってしまうには余りにも簡単過ぎて受け入れ難い、人生の無常と、理不尽さ。
この様な無念の思いの残る生活は、常日頃から私達も嫌でも、現実の生活の中で否応なく体験しながら生きている。と言うより、生命そのものが自分の意志だけでは無く、大いなる何者か、人によってはこの存在を神や、仏と呼ぶだろうが、そう言った何か人の力の及ばない大きな存在に因って生かされていると言った方がむしろ正しいと思うのだが、それらの存在に左右されながら生きている私達は、自己の寿命も、無論他者の寿命も知らずに生きている為に、ももが犯した様な過ちを私たちも、日常的に経験しがちな事なのだ。
それ故に、作者の沖浦啓之監督の描きたかった事は身に沁みて伝わって来るのだが、しかしこの映画で、これを伝えたい相手の人は一体誰なのだろうか?
ももが小学校6年生と言う設定で在るので、この映画の観客対象をこの映画のヒロインももと同年代の人を対象に制作されているのだろうか?
観ていて子供向けの作品なのか、大人対象なのか、そのあたりが気になってしまい、映画を観ながら終始しっくりなじめずに?マークが頭の中でグルグル廻り続けながら、映画を観てしまう結果に終わった。
子供向きであるなら、ももの母親が始めから終始ぶっきらぼうで、田舎のおじちゃんも、おばちゃんも、ももを意識的に気遣っていた為なのか、余りももと関わってこないのが不可思議であったし、その分、やたらとももは、妖怪とのコミュニケーションを繰り返す場面が多い。その最たるシーンは、天にももと母親の状況を報告する為に報告書を送るくだりなどの踊りのシーンは余りにも子供っぽいし、長過ぎる。
観客対象を子供向きに設定しているなら、少々不親切なシーンが有る気がしたし、大人を観客のメインとして捉えているのであれば、いささか子供っぽ過ぎるのではあるまいか?好い作品であるだけに、中途半端な感じがして残念でならない。
私事ではあるのだが、私も父と死別する2日前に喧嘩をしたまま和解しないままで、父が急死してしまった経験が有り、18年経った今でも、その事は心残りで、父に対して申し訳ないと今も思い出しては、悔いているのだ。
家族とは、愛し、許し合える関係にあると信じているからこそ、お互いに甘える心があったりして、他人には決して向ける事が無い様な、エゴをお互いに丸出しにして口論する事など、がぶつかり合いをするものだ。
音楽が綺麗だったし、瀬戸内のゆったりと自然と共に流れゆく時間が、のんびりとしていてこう言う生活の快適さがアニメだが、実写より伝わって来た。そして目には見えない多くの存在である、ご先祖様や、神さま、仏様に私達は人間は護られ常日頃から、生かされているのかも知れないと改めて、自分の命に感謝を憶えた素晴らしい映画だった。
残念
人狼は雰囲気からストーリーまで好きでした。
この作品も背景や人物描写がとてもよく、見るという意味では楽しめました。
ただ、ストーリーが残念すぎる。
空から降りてきた見守り組の3人の設定が曖昧。
なぜ肉体を持たない(であろう)彼らに物欲や食欲があるのか。
そして盗みもやめない理由は何なのか。
最初と最後を結びつけ、感動的に終わらせようという意図の元に
無理やりこじつけている気がする。
父と娘のすれ違いと喧嘩はリアルで頷けた。
でも母と娘の喧嘩の原因があれではあまりにも。。。
何故鏡を返してくれなかったのか、それも良く分からない。
母が島に療養に来たのも短いのに、そんなに馴染めるものかな?
幼少期を過ごした島ってことでいいのにとも思う。
妖怪が出てきたことで得られたのはインパクトだけで、
特に面白くはなかった。
それよりももっと突き詰めて、母娘のすれ違いを描き
無理して頑張り娘に弱さを見せない母と
それを見て父を忘れ、自分の寂しさを理解してくれないと悩む娘と
島に馴染む母と馴染めない娘で描く方が納得が出来たと思う。
父への手紙も妖怪に託さなくても、
ストーリー中に出てきた藁舟を介してやりとりできれば
それでよかったんじゃないかなぁ。
妖怪達に好意はもてず(よくも悪くも人間臭いだけの生き物)
最後の病院へとむかうくだりも説明不足
(ももが病院へ行くのはいいが、母をどうやって迎えに行ったのか、
物理的に無理そう)
大まかなプロットのみで進行して、物語の辻褄があっていない。
更に「犯罪はばれなければいい」って言われてるみたいで嫌な気分になった。
ももから盗むならまだいいけど、島の人達のものや食べ物盗むなよ、と。
そんな変なものがあとどれくらい地上にいるのかと考えてしまった。
作画が最高、音楽は可もなく不可もなく。
ストーリーは最低レベル、という作品でした。
期待していただけに残念です。
ささやかな成長暦。
とてもささやかな物語だったが、このももへの手紙の書き出しが、
11歳の少女の心をどれほど残酷に痛めたかを思うととても辛い。
なんて不幸な出来事だったのだろう。
父母を喜ばせるために入手したチケットを渡そうとしたももは、
父が急を要する仕事で約束を守れなくなったと聞いてむくれる。
「お父さんなんか、もう帰ってこなくていい。」その言葉が、
本当に永遠の別れの言葉になってしまった。辛いなぁ…これは。
そもそもこの子は本当に父母思いの、内気だが優しい女の子だ。
彼女の思いが伝わる分、どれほど自分を責めているかが分かる。
何度も何度も手紙を広げて、お父さん、と語りかける少女の声に
(分かっちゃいるけど)早く答えを届けて欲しいと思ってしまった。
水玉~妖怪に変化する三体の生き物の正体は、おおよそ分かる。
彼らがももに対してまったく悪びれない様子にはほのぼのとする。
説教がましさがまったくないこの作品からは、自分で理解して、
立ち上がろうとする行程をじっくりと見せようというのが伝わる。
悪者といえば(盗みを働く)この三体くらいのもので^^;
瀬戸内の人々も同級生も皆、ももに優しい。こんな平和な現在が
あるのか?と一見予定調和な衒いを感じるも、周囲が良かろうと
悪かろうと、悲しみから立ち上がる人間を幇助するのは自分自身。
母親が悲しみをこらえて気丈に振舞うことに違和感を覚えるもも。
妖怪たちと関わるも、ほとんどその世話に追われるばかりのもも。
忙しい毎日に漂う違和感と波立つ心が、ももの成長に繋がっていく。
個人的に思うところが幾つかあり、途中で何回か泣けた。
母が、ももが、どれほどこの夫である父に思いを遺しているかが、
描かれずして伝わってくるのがとても切ないのである。
仕事を見つけて忙しく働く母と、妖怪の世話に忙しいもも、
悲しみを紛らわすにはもってこいの環境ながら、忘れない記憶。
どんな一家だったのだろうと思う後半で、その顛末が明かされる。
ももの告白には、涙がポロポロ流れて仕方なかった。
母親がももを叩いたあと、発作を起こしながら追いかけるところも、
親なら当たり前の行動と反省が痛いほど自分にもかぶさってきた。
子供は子供で、懸命に、親の思いを追いかけているに違いない。
飄々と振舞いながら、それを聞いて手助けするかと立ち上がる、
(しかしそこまでも長い)のんびりとした妖怪たちには癒される。
しょせん他人事、しかしそれでいいのだ。ムリな感傷はいらない。
それにしても本作は、全く画面が波立たない。とても静かなのだ。
なにがどう、起こっても、恐ろしくも、ハラハラもしない。
そういったアニメ独特の臨場感がないことに、アレ?と思う人も
いると思うが、ささやかな心の変化を読み取ることに長けている。
子供の成長なんて他人事には早いものだが、本人や家族には長くて
長くて^^;仕方ないものなのだ。オトナになるまでに幾つの悲しみを
力に変えて生きていくのか。ももの気持ちに返答する父親の言葉が
ももは大人になったね。と告げているようだった。頑張れ、もも。
(橋からの飛び込み、確かに怖いけどキレイな川なら入ってみたい)
優香の演技に驚き!
ユナイテッドシネマとしまえんでの試写会を観ました。
ちなみに作品自体は、国立新美術館で開催「メディア芸術祭」で知った。
ネタばれ含む長文、どうかご容赦を。
例えるなら「コンソメスープ」に近い映画だろうか。
濃いはっきりした味つけでなく、淡々としておいしい要素がある映画だと思ったから。
真っ先に「声」評価すると、声優陣はわりと安心して聞いていられた。
全体的にハズレは少ない。多少、「もも」役の加恋さんの演技に違和感を感じたくらい。がっかりする程ではなかった。
「あら意外と上手い」と感じたのが、ももの母「えつ子」役の優香。事前に情報を仕入れず観たため、エンドロールにて「そういえば」と気づきました。
逆に西田敏行さんはすぐ声が分かるけど、さすが安心して聞ける。声優として有名、技量の高い山寺宏一さんはいつも通り、安定した演技。
原由子さんの歌も聴いていて心地よく良かった。
監督は沖浦啓之さん、アニメーション制作はプロダクションIGが手がけているとの事。私がいち早く試写会で観たかった理由はここにあり。
舞台は瀬戸内海。私が初めてじっくり1人旅をした場所が宮島中心の瀬戸内海。地元ではないけれど、船から眺めた瀬戸内海の島々や街並みなどは程よくリアルに描かれている。色彩は淡く、はっきりした色使いは少ない。
観光的なごり押しシーンはないけれど、作中の(確か)レモンようかんは食べてみたい。地元では有名なのだろうか?
ストーリーテンポは中だるみする気がした。最大の見せ場もあっさり終了、後日談に移行しているようで、全体的にとにかく淡々と進む印象は強いかと。
それでも、ももと母いく子が中心の話はそれで良いし、時折、夫(父)を急に失ったいく子とももの、心情演出がほど良く出てきて、私もちょっと涙ぐんだシーンあり。
個人的に残念なのは、3妖怪の畑荒らしや物を壊す、子供の持ち物を盗む事に対する反省、した事に対する責任をとらせるエピソードも入れるべきだった、と。
ストーリー的にはこの部分「投げっぱなしジャーマン」で説明なく終わってしまったので…。
子供も観る作品なら、「なぜ畑を荒らしてはいけないか」といった理由は、明確にストーリーで示した方がいいと感じた。
実際に私が行った会場は親子連れも多く、幼稚園くらいの子が「どうして妖怪たちはこんなことするの?」と親に質問していた会話を私も近くで聞いていたので。
総評すると「良作」。
ただ私でも、日本でこういう映画が得意で、評価も高い「ジブリ作品」を基準にして観てしまいがち。キャラ、ストーリー、作画共にそれらの作品を比べてしまうと、明らかに見劣りしているな、と直感で思いました。
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