「少し子供っぽいが、大人が観ても良いかもね!」ももへの手紙 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
少し子供っぽいが、大人が観ても良いかもね!
「ももへの手紙」う~ん言いたい事はわかるのだけれども・・・
確かに、テーマ的には家族の絆の大切さや死別した家族への思慕や、後悔の気持ち、家族の中での言葉の行き違いから始まる、誤解などがきちんと解決されないままに、行き違いの状態のままで、死別してしまった事への深い後悔の念とやるせなさ
運命と言ってしまうには余りにも簡単過ぎて受け入れ難い、人生の無常と、理不尽さ。
この様な無念の思いの残る生活は、常日頃から私達も嫌でも、現実の生活の中で否応なく体験しながら生きている。と言うより、生命そのものが自分の意志だけでは無く、大いなる何者か、人によってはこの存在を神や、仏と呼ぶだろうが、そう言った何か人の力の及ばない大きな存在に因って生かされていると言った方がむしろ正しいと思うのだが、それらの存在に左右されながら生きている私達は、自己の寿命も、無論他者の寿命も知らずに生きている為に、ももが犯した様な過ちを私たちも、日常的に経験しがちな事なのだ。
それ故に、作者の沖浦啓之監督の描きたかった事は身に沁みて伝わって来るのだが、しかしこの映画で、これを伝えたい相手の人は一体誰なのだろうか?
ももが小学校6年生と言う設定で在るので、この映画の観客対象をこの映画のヒロインももと同年代の人を対象に制作されているのだろうか?
観ていて子供向けの作品なのか、大人対象なのか、そのあたりが気になってしまい、映画を観ながら終始しっくりなじめずに?マークが頭の中でグルグル廻り続けながら、映画を観てしまう結果に終わった。
子供向きであるなら、ももの母親が始めから終始ぶっきらぼうで、田舎のおじちゃんも、おばちゃんも、ももを意識的に気遣っていた為なのか、余りももと関わってこないのが不可思議であったし、その分、やたらとももは、妖怪とのコミュニケーションを繰り返す場面が多い。その最たるシーンは、天にももと母親の状況を報告する為に報告書を送るくだりなどの踊りのシーンは余りにも子供っぽいし、長過ぎる。
観客対象を子供向きに設定しているなら、少々不親切なシーンが有る気がしたし、大人を観客のメインとして捉えているのであれば、いささか子供っぽ過ぎるのではあるまいか?好い作品であるだけに、中途半端な感じがして残念でならない。
私事ではあるのだが、私も父と死別する2日前に喧嘩をしたまま和解しないままで、父が急死してしまった経験が有り、18年経った今でも、その事は心残りで、父に対して申し訳ないと今も思い出しては、悔いているのだ。
家族とは、愛し、許し合える関係にあると信じているからこそ、お互いに甘える心があったりして、他人には決して向ける事が無い様な、エゴをお互いに丸出しにして口論する事など、がぶつかり合いをするものだ。
音楽が綺麗だったし、瀬戸内のゆったりと自然と共に流れゆく時間が、のんびりとしていてこう言う生活の快適さがアニメだが、実写より伝わって来た。そして目には見えない多くの存在である、ご先祖様や、神さま、仏様に私達は人間は護られ常日頃から、生かされているのかも知れないと改めて、自分の命に感謝を憶えた素晴らしい映画だった。