「結局は、監督や脚本家の資質か」貞子3D akebonoさんの映画レビュー(感想・評価)
結局は、監督や脚本家の資質か
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原作『エス』を読んでみると、ちょっと印象が変わるかもしれないが、この映画だけを観ると、見る影もなく姿を変えた、ちょうど最後に出現する、モンスターとしての貞子(たち)そのもののような映画に思えた。
要は、この素材、貞子という存在を、原作のリンク3部作とは切り離して、全く別物として再生しようとした場合に、その何が怖くて、何が人々にリアルな恐怖感、全くのフィクションではないものを観ているかのような錯覚を抱かせているのか、という点が、全く整理されないままに、3D技術を見せびらかすには、この設定、みたいな、安易なつくり方をしたとしか思えない、つまらなさい。
これでは全く、100年近くまえのモンスター映画と変わらない。
貞子が怖いのは、第一に、全くのフィクションではない、という事、モデルとなる出来事があり、その真髄を取り入れる形で、形作られたストーリーである点。
第二は、原作の当時であれb、VHSのビデオテープを観る事だけで、人が死ぬ、という怖さ。当時は、インターネットも普及前、もちろん、携帯やスマホ、モバイルも普及していなかったので、VHSテープとビデオデッキのみを介して、呪いは感染した。
今の時代、その感染源は、まちなかに溢れている。また、ネットを介して、世界中に感染可能な世界になった。恐らく、そんな呪いが現実になれば、自分自身が、茜のように逃げ場がなくなる、という現実味が表現されないと、この話は、全然こわくなく、むしろパロディ(コメディ)作品のようにしか見えないというジレンマを脱却し得ないように思える。
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