デンデラのレビュー・感想・評価
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女優陣の貫禄に☆加算
姥捨ての話でカンヌ受賞した「楢山節考」
その監督の息子がとったのがこちら「デンデラ」
姥捨てのその後の物語。
楢山節考も観ていると、ああ、つながってるんだなとわかる
エピソードもあってより楽しめる。
実は小説を先に読んでいてとても面白かったので
映画も期待して観た。
映像で見ると、居並ぶ女優陣はさすがの貫禄揃い。
とくに倍賞美津子が出てくると空気まで変わる。
この面々が並ぶだけでもう点を上げてもよい。
しかしさすがに寄る年波には勝てず。
獣との戦いに、あんなよぼよぼの走りで
対抗できるわけがないと突き付けられてしまうのが
悲しいところ。
全編女の生の悲しみとそれに対しての戦いが描かれているが
まさか熊と分かり合う瞬間が
マタギでもないのにやってこようとは。
女性の生命力
対クマじゃなくて
まさに怪演!
着想は面白いが、まさかモンスター映画とは…
死んだはずの婆様たちが、誰にも知られず集落を作って生き延びていたという発想が面白い。
村の掟とはいえ、生への執着を捨てていない婆様たち。その掟を作った男たちは仲間に入れず、お参り場に捨て置くという設定もなかなかシリアスだ。
隠れ集落における彼女らの生活を追い、いろいろな苦難を乗り切る映画かと思いきや、自分らを捨てた村に復讐するため決起するという。デンデラの長である100歳のメイ(草笛光子)が主導する決起組と、決起に反対して“意気地なし”と呼ばれるマサリ(倍賞美津子)のダブルMitsukoの対決に主人公が巻き込まれるのかと思えば、ここもサラッとしたものだ。
では、この映画はいったい何?と観ていると、とんでもない展開になる。76年の「グリズリー」を連想させる化け物クマが登場し、婆様たちが次から次へと倒されていく。逞しく生き延びてきた婆様たちの生き様を描く映画じゃないのけ!?
そう思い込んだアンタが悪いと言われればそれまでだが、もう少し作りようがあったんじゃないの?
往年の人気女優達がシワシワの顔で、薄汚れた端切れを羽織った役に臨んだ勇気は評価できる。
もっとも、これだけの顔ぶれが揃ったなら、声が掛からなかった女優のほうがガッカリだろう。
山本陽子のファンだが、この映画では弓の達人キュウ役の山口美也子がカッコイイ。
『楢山節考』の後日談というより、ドリフのコントに近い世界
《続・楢山節考》というより、ドリフのコントで志村バアさんを倅の加トちゃんが雪山に捨てるんやけど、帰宅したらバアさんの方が早く帰っていて、「おかえり〜」って待ってるネタあるでしょ。
何度も捨てるんやけど、その度にバアさん近道使って猛ダッシュして帰ってきて、とうとう加トちゃんがダウンしちゃって、「ダメだこりゃ!」
♪ファンファ、ファッファ〜〜ファ〜〜ドン!!♪
ってヤツ。
あっちの方がテイストは極めて似ている。
それなら開き直って笑いに突っ走って欲しかった。
要は、バアさん連中みんな威勢が良過ぎるって事でしょうな。
普段、介護に携わっている者として、不自由になってしまった弱者への面倒や生活観etc.が興味津々だっただけに、
「セルフサービスの特養老人ホームやな」ってぇ安直な印象しか持てないのは致命的だ。
最大のテーマである《老い》に対する掘りがずいぶん浅い。
題材自体はとても面白いのに、残念の一言に尽きる。
では、最後に短歌を一首。
『棄てられて 大地に叫ぶ 枯れ吹雪 恨み牙剥く 残り火の里』
by全竜
衝撃的作品!おもしろかった!!
手に汗握るとても衝撃的なシーンがたくさんあり非常におもしろかったです。
表面は大女優さんらの演技に魅了される、アクション満載の映画なのですが、
作品としての本質は、人間とは?生きるとは?という本質的なドラマがあり、
つい先日のできごとではありませんが、巨大な自然の力に翻弄されながら、
今だちっぽけな利害闘争に明け暮れるこの国の在り方を考える上で、本作はなかなかに興味深い一本だと思いました。
3.11後の時代に呼ばれた様な作品だと思いました。
カルト作か!?
姥捨山を題材にして、カンヌ国際映画祭グランプリに輝いた今村昌平監督の名作「楢山節考」。
その後日談とも言える話を、息子・天願大介監督が描く。
しかも、浅丘ルリ子ら大ベテラン女優の共演で。
映画好きなら見逃せず、期待して観に行ったら…
何だか、思ってた映画と大分違った。
「楢山節考」のような哲学的とも言える深遠な人間ドラマかと思いきや、老女たちのサバイバル・アクションと言うべき内容。
勿論、大自然と人間、生への執着、復讐のはかなさ…深いテーマを描いているのだが、今一つ踏み込めずと言うか、中途半端と言うか、そんな印象を受けた。
加えて、中盤から熊とのバトルが始まり、何故あんなに時間を削ってまで描くのか、「??」となってしまった。
70過ぎの元気過ぎる老女たちを演じるベテラン女優たちの演技は、熱演と言うより怪演。
中でも、100歳の長役の草笛光子は凄みがあった。
名作になり損ね、カルト作になりそう。
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