「ローマ帝国戦記ものとして抜群の面白さでした。大穴的作品です!」第九軍団のワシ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)
ローマ帝国戦記ものとして抜群の面白さでした。大穴的作品です!
公開は3月24日(土)とだいぶ先なのですが、マスコミ試写で見てきましたのでご紹介します。
ローマ帝国戦記ものとして抜群の面白さでした。『300』のような亀甲陣形による戦略的な戦闘シーンがあり、また父親の名誉挽回に、奪われた軍団のシンボルの奪還のため単身敵地に乗り込む冒険あり、また冒険の相棒となる奴隷との怨念と友情が複雑に交差しあう人間ドラマありのどこをとっても楽しめる作品でした。
主演のチャニング・テイタムのまっすぐな正義感がとても役にはまって心地いいのと、叔父の貴族役で登場するキーファー・サザーランドのお父さん、ドナルド・サザーランドの厚みのある存在感がよかったです。
パートナーの奴隷にとって主人公は、一族を攻め滅ぼした親の敵。いつ復讐に転じるのか、敵地からの往復の間じゅう、敵からの襲撃に加えて、相棒の奴隷の裏切りもあるという要素にドキドキの連続だったのです。
歴史上消えた第九軍団5000名の謎も興味深いところです。軍団の長アクイラの息子マーカスはずっと父親が遁走したのではないかという不名誉な疑念を受け続け、それを晴らすために自らもローマ軍の士官として、第9軍団が戦った戦地へと赴いたのでした。
生き残りと出会っても、真実を明かに語ろうとしません。この謎がラストに思わぬピンチからマーカスを守るところも見どころです。
『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞撮影賞を受賞した名カメラマン、アンソニー・ドッド・マントルが撮影監督を担当しているだけに、この手の作品としては映像が情緒的で美しいのです。スコットランド北西部で撮影された最後に対決するアザラシ族の集落のシーンは、特にロケーションがは素晴らしかったです。サマー諸島を見下ろすこのロケ地は小さな島々が点在する美しい場所。でも強風はすさまじかったそうでスタッフの苦悩を忍ばせてくれました。
資料【消えた第九軍団5000名の謎】
数年にわたりエブラカム(現在のイギリス北部ヨーク)に駐在した第九軍団は、西暦120年を境に歴史上の記録から突然姿を消した。スコットランドを目指して北に侵攻したきり戻ることがなかったとされている。今日の歴史学者の間では、第九軍団の行方についてイギリス北部で忽然と消えたという説と、どこか別の場所に配置されただけだという説の2つに意見が分かれているが、どちらにせよ5000名の大軍が消息を絶ったのは正真正銘の歴史的事実である。