「ラストは好みが分かれるかもしれませんが」メカニック alalaさんの映画レビュー(感想・評価)
ラストは好みが分かれるかもしれませんが
ジェイソン・ステイサム主演の有名どころの映画って、大抵あまり頭を使わずド派手なドンパチがあって格好良くカーチェイスして、って感じで、ジェイソン・ステイサムが格好良く見えることがメイン、他は程々みたいな(それは言い過ぎか)のが多い気がしますが、今作はむかーしにオリジナル版があって、内容はオリジナル版ほぼそのままに、配役だけ変えてのリメイクだったそう(自分はオリジナル見たことありませんが)。
そのせいか、ラストは普段のJS映画より若干後味が悪く感じますが、自分はこのくらいあっさりしている方が好きです。
あらすじ:
主人公のアーサーは殺し屋で、仕事に感情は挟まず、着実に任務を遂行することから評判の高いプロ中のプロ。ある日親友であり恩師であるマッケンナが大金を盗んだとして殺害するよう言われ、戸惑いながらも仕事をこなす。しかし、マッケンナの息子スティーブがヤケを起こし、父親殺しの犯人と思しき人間を片っ端から殺そうとするのを見かねて、スティーブを弟子にする。最初は不出来であったもののすぐに相棒として一緒に仕事ができるまでになったスティーブ。パートナーとして暫くは上手くやっていた2人だが、仕事をする中で自分の父親を殺したのはアーサーだと気付いたスティーブは…
以下、ネタバレ
ラスト、嫌な予感がしつつも「そのまま仲良く続けろよ~~~~!!」と念を送り続けてみましたが、ダメでした…笑
まあ、親友殺しはハメられた結果だったとわかった時点で、アーサーは殺し屋稼業辞めるのかなーとか、スティーブの性格を考えても2人で穏やかな生活なんて考えられないよなーとか考えて、こうなるんだろうなとは思ってましたが…スティーブは、技術面では成長したけど内面は何も成長しないんですよね。
アーサーはマッケンナを殺す前と後で心情の変化があったのは明らかなんですが、スティーブは…序盤にマッケンナが「あのダメ息子はアカンわ~」と話していたまま。父親を困らせていた時のまま。父親殺しの犯人捜しで片っ端から殺そうとしていた時のまま。アーサーはそれを見かねて鍛えてくれたにも関わらず、内面はなーんも成長してない。
技術を磨いて仕事を上手くこなせるようになって、一見成長したように見えても、ダメ人間はダメ人間なんだなーと思わされるラストでした。
ていうかアーサーを殺すにしたって、雑過ぎでしょ!仮にも自分の恩師なんだから、あの程度で死ぬような人間じゃないとわかるはず。
アーサーは殺しの技術だけでなく、『周到な準備が勝利を招く』という思想までも恩師であるマッケンナから受け継ぎ、忠実に守っていたけど、スティーブは完全に技術をパクっただけ。しかも粗削りで、とても恩師を殺せるほどの技量はない。なのにつけ上がった結果があのラスト。
アーサーどころか、自分の父親であるマッケンナの思想すら受け継げない。そりゃダメ息子と言われるわ。
個人的にはアーサーの筆跡可愛くない!!?ってところに目が行き過ぎて、スティーブの無様なラストにはあまり何の感情もわかなかったんですが。
まぁ~本人は復讐遂げたつもりになって死んだわけだし良いのか?本気で殺せたと思ってたらかなりおめでたいけど。
登場人物の感情が緻密に描かれてはいませんが、自分はこのくらいがちょうど良いかなと感じます。あまりキャラクターに思い入れて暗い話にするより、このくらいあっさりしててくれた方が、見終わったあと胸糞悪い映画だったなぁ…とウンザリせずに済むので。
とはいえ、ストーリーが大雑把な単なるドンパチ映画ではなく、きちんと理由があって動いていくので、まあまあ納得の展開ですし、テンポも良く、恐らくJS映画に観客が期待しているであろうアクション要素もちゃんとあり、派手なカーチェイスもあり、久々に全方向にバランスの取れたアクション映画だった気がします。
個人的には満足でしたが、何でか後で思い返そうとすると殆ど何も思い出せない映画…決して退屈する映画ではないし、面白かったんだけど。何でだろう?
『周到な準備が勝利を招く』
これだけは殺し屋じゃなくても胸に留めておきたい言葉ですね。