「設定は物足りないが役者に救われた」探偵はBARにいる gsacraさんの映画レビュー(感想・評価)
設定は物足りないが役者に救われた
さすが9月18日(日)時点で注目作品ランキング1位をキープしているだけあり、こちら(東北の一都市)の映画館でも8分の入りとなかなかの人気ぶりの本作。探偵ものとしてシリーズ刊行されている小説が原作のようですが、まだ全く読んでいない私でも十分に楽しめました。
なんといっても主演の二人が良い。
大泉洋は立ち居振る舞いが格好良くほれぼれするくらい。バラエティを主戦場として出てきた方らしく、場の雰囲気に合わせるのが上手ながら、「大泉カラー」は消さない絶妙さでした。
松田龍平演じる“高田”は最初の登場シーン一発でお気に入りに。ひょうひょう・淡々としながら格闘にめっぽう強い。無表情で戦うのですが、冷たいのではなく世間ズレしているだけ、という空気感が非常にすばらしかった。「こいつ、面白い!」と観劇中ずっと思ってました。
この二人が出るならシリーズ化して欲しい、と思わせるだけの組み合わせです。
ただ、キャラクター設定には少々不満が。大泉演じる主人公の「俺」にはもう少しキーワードというか、007のマティーニのような「これ!」というこだわりの強い部分、キャラをあらわす『記号』があと何点かあって欲しいのです。朝飯が近所のナポリタン、というのは地元密着で良いですが・・・
主人公は決して腕利きではないと思いましたし(仕掛け方に工夫が感じられない)、酒とタバコが好き、だけではキャラが立たない。高田は酒は「バーボンソーダ」、主人公にもこういうこだわりが欲しいな~と。
演じる大泉洋はすばらしいだけに、設定でマイナスポイントとなるのはあまりにもったいない。次回作ではもう少し強くキャラを打ち出していただけると末永く楽しめると期待します。
あとの要素ですが、まずストーリーは・・・ポイントとなる「謎の依頼人」の正体はすぐに見当がつきました。
共演の小雪はスクリーンで映える女優さんですね。ただ終盤、大泉に詰め寄られて流した涙はどうも理解しがたい演技(演出?)でした。後悔?謝罪?どっちも話の流れに合わないんですよね~。歓喜の涙という感じではないですし。
最後に、お酒を飲むシーンは皆さん本当に美味しそうでした♪