「映画って、「汚し」が欠かせないよね」はやぶさ 遥かなる帰還 トコマトマトさんの映画レビュー(感想・評価)
映画って、「汚し」が欠かせないよね
こちらは2月公開、3月にもはやぶさ映画があるよね。すごいなあって思ってたら、去年のうちに堤幸彦監督作品やドキュメンタリーも公開されてたのね。
オイラも、はやぶさが丸の内にあったJAXAの広報スペースで公開されたのを見た程度の関心は持っていたから、映画もそれなりに期待して行ったよ、試写会に。
主演は世界のケン・ワタナベだし、脇だって山崎努、江口洋介…結構大物がそろってる。世界の小澤征爾のジュニア、同じジュニアつながりで長嶋一茂、さらには小物だけど蟹江一平なんていうのも出てたり…。
さて中身なんだけれど、予想以上のものでも、それ以下でもない。
ふ~ん、という感じ。
一種の教育映画みたいなもんだと思えばいいでしょう。
渡辺謙演ずる主人公の人物造形が平板ですな。実在の、しかも現役の人を描くんだから難しい面は分かるけど、父親の臨終に立ち合うくらいしかプライベートを描いていないのがおもしろくない。
裏の話がないわけですよ。
一大事業をなすために、みんなが家庭も犠牲にしてがんばっている…というなら、その影で犠牲になっている人たちも描くとかが必要でしょ?
山崎努演じる町工場主の話もありきたり。竹内結子演じる朝日新聞記者のシングルマザーぶりも深みがない。朝日の記者がどんだけ高給取りかっていうんだわ…。
ま、教育映画にそんなものはいらないんだろうね。
あと、渡辺謙の英語がうますぎ。
あれはもうちょっと、学者らしいたどたどしさがあったほうがいい。
実際の川口淳一郎氏が本当に英会話が堪能なのかもしれないけど。
そういう意味で、映画全体に汚しが足りないんだわ。
だから、深みがないの…。
ハリウッド作品と比べるのは酷とは思うけど、「アポロ13」や「ライトスタッフ」なんかには遙かに及ばない。
いくら莫大な金がかかっているとはいえ、人の生き死ににははやぶさは直接かかわってないもんね。
昨年公開された堤監督作品を逆に見たくなったな。
まさか、トリックみたいにはなってないんだろうけど、ちょっとはお笑いの要素ないかな!?