「夫婦が繋がっておりまして。」ツレがうつになりまして。 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
夫婦が繋がっておりまして。
以前、NHKドラマでやっていた本作を見ていた。
ハルさんを藤原紀香、ツレを原田泰造が演じていたが、
映画版のキャストをみて、絶対こっちだろう♪と思った。
実際に観てみて、もちろんこちらが圧勝!の出来。
ドラマ版では、どうもうつに対しての描写がキレイすぎるし、
加えてハルさんも生活感ないし(ワザとだらしなくしてたけど)
個人的にイマイチだったので、こちらを観て素直に感動した。
しかし宮崎あおい、いま私生活でもこんな感じなのかな(汗)
夫婦なんだから苦労がまるでない、なんてことはないけれど、
どちらかがいっぱいいっぱいになった時、片方の支えなしで
見事に立ち直れた例など聞いたことがない。人間は弱いのだ。
自分ひとりで何でも頑張ろうとするツレのような人間は、必ず
どこかで歪みが出てくる。私の周囲にもうつを患った人がいて、
どうして「頑張って」と言っちゃいけないのか考えたことがある。
常にいっぱいいっぱいで頑張っている人にさらに「追い打ち」を
かけることになるのだそうだ。責められていると感じてしまう…
私はまずそんなこと思わないけれど^^;でも、そんなデリケートな
心身の相手に、気の置けない台詞などとても言える訳がない!
頑張らなくていいんだよ~v
ダラダラするのが仕事なんだよ~v
ホラ、ゴロゴロと寝っ転がってお昼寝しようよ~v
映画の中でハルさんが言う台詞はせめてものアドバイスだ。
自分が好きな仕事をやってこられたのは、
結婚してからもずっと幸せに生きてこられたのは、
なにはなくともツレの存在。自分を愛して励ましてくれる存在
あってこそ、だったのだ。ということに気付く回想シーンには
ポロポロと涙がこぼれた。宮崎あおいが演じると、なんでだか
ハルさんがだらしなく見えない(爆)夫想いの妻、になっている。
何とか会社を辞めさせて(あれが原因だし)薬と怠惰を徹底させ、
代わりに自分がバンバン漫画を書くぞ!と意気込むハルさん、
とはいえ仕事が少ない。売れっ子なら味わわない苦労を支える
のが、ハルさんのご両親である。この両親がすごくいい。
結局この物語は、繋がって繋がって相手にたよることから学ぶ、
ひとりで考え込まなくていいこと、抱え込まなくていいこと、
他人でもなんでもいいから吐き出して、喚いて、声に出してみる、
愚痴を言ってはいけない、なんてことはないのだ。
言い過ぎるから、嫌われるということである^^;
でももし、迷惑がられても嫌われても、自分のことをちゃんと
分かってくれる相手がひとりでもいるなら、それでいいじゃない!
完全無欠の人間など、この世にはいないのだから。
私のように言いたいことを言っている(書いている)人間が
黙々と頑張っている人にとやかく言えることではないのだが^^;
しかしそれが辛いのなら、我慢しなくていいんだよ!と言いたい。
聞きたくないことは右から左へ流してしまう、これもいい方法だ(爆)
うつの実態、私は介護したわけではないので詳しくは分からない。
何よ、ドラマでこんなに明るく描いちゃって…と思う方もいるだろう。
でも私はこの原作をおおいに褒めたい。
くだらないひとコマに、こんなにも夫婦愛が満ちているのだから。
(しかし妻が夫をツレ。と呼ぶのには驚き。名前で呼んであげても^^;)