「退いて支える愛。」一枚のめぐり逢い ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
退いて支える愛。
実は、観るまで大きく勘違いをしていた箇所があった^^;
この一枚の写真、私はてっきり彼女が旦那に渡したものだと
思っていたのだ。旦那が従軍した先で落としたのだとばかり…
なので別れた旦那?なんてのが出てきた時は驚いた(爆)
オイオイ、じゃあ誰に渡した写真だったんだよ!?と思ったら
なんと…最愛の兄へだと言う。やだー。間違えてるじゃん私。
…と些少の行き違いはあったものの^^;
決して分かり辛い物語ではなく(ストーリーは単純)どちらかと
いうと、悲しみのトラウマをどう乗越えるかをじっくりと見せる
話だった。兄を亡くした妹と、妹を愛する二人の男の対立。
ありきたりなラブストーリーかと思うと、少し違う。
イラク戦争という重いテーマがのっかる上に、過去との対峙が
それぞれに描かれる。そんな中で役割を果たしたのが出逢い。
歌にもあったっけ、
もう恋なんてしないなんて~♪言わないよぜ~ったいに~♪と。
悲しい経験をしたあとで何が恋だと、一生誰かを好きになる
ことなどもうない…と思っている人ほど、実は恋におちる(爆)
人生の機微とは本当に不思議なものだ。
期待や気負いのない時に人間はスルリと本来の姿に戻るもの。
だから「もう絶対」なんてことはないのだと思った方がいい。
(幸も不幸も)
今作はいい意味で、それらを観せていると思った。
写真に一目惚れした兵士も、戦死した兄を忘れられない妹も、
別れた妻子を取り戻したい元夫も、皆ありのままの姿を顕わし、
最後は本音で語り合う。
悲しみの連鎖は消えないが、それでも前向きに生きようとする
自分を、もっと認めてあげていいんじゃないかと私には思える。
そして自分が心から誰かを愛するということは、
その人が心から幸せになれる状況をつくりあげることに尽きる。
「推す」か「退く」かは相手を見て決めることなのだ。
HSMのZ・エフロンがとてもいい表情を見せている。
ダンスの上手い明るい男子のイメージ脱却を狙ってるのか^^;
最近は複雑な役どころを多く演じている気がする。
思うに彼は前述の言葉を使えば「退く」演技が上手いと思った。
オレオレ演技で前へは出ない(爆)
ジ~っと見られて気味が悪い、と彼女に言われる彼だったが、
面目躍如とばかりの働きを見せるところが男らしくてステキ。
彼にとって彼女は命の恩人(天使)なのだから、まぁそのくらいは
しても当然だと思えるうえに、一目惚れしちゃってるしねぇ~♪
お姉さんに見えるT・シリングとのラブシーンは思いのほか長い…
こんな出逢いがあるかどうかは別として、
常に感謝の気持ちを忘れない姿勢は観ていて気持ちがいい。
私だってこんな出来事があれば、まずお礼を言いたくなるよなぁ。
それでイケメンだったら、やっぱりさ~♪ってオイ^^;
(さり気ない風景はお薦め。でも犬の訓練シーンが少ないわねぇ)