「予想外の展開」東京公園 てつさんの映画レビュー(感想・評価)
予想外の展開
三浦春馬氏演じる光司の憧れの写真家がいるのはわかっていたけれども、公園でみかけて夢中でシャッターを切り続けるその被写体百合香が同じ井川遙氏の顔だとは、私もしばらく気がつかなかった。また、憧れの写真家だと思ったその人が、光司の母親だったのだろうか。咎めるようにみえた高橋洋氏演じる隆史が、まさかの悪だくみの提案を申し出て、意外の始まり。百合香が気づいているようで、あえて咎めないので、そのまま続き、依頼した隆史との関係にも波風は立たないようだった。子どもを異す苦労が続いたことであろう。光司と榮倉奈々氏演じる美優との恋が生まれるのかと思ったら、光司とステップシスターの小西真奈美氏演じる美咲との恋の話になった。それにしても、弟が姉に憧れるのはわかるけれど、姉が弟に忍ぶ恋というのは予想外であった。ただ、そこに踏み出しながら、躊躇いのキス2回だけでは、意味がないのではないか。榮倉氏がかつて、近親関係にある男性と恋愛関係になる『蜜の味』というドラマで主役をしていたことを考えると、半端な話だと感じた。幽霊である染谷将太氏演じるヒロの姿が、美優にはみえず、光司にはみえていたのがみえなくなった意味も、よくわからなかった。最後に全部が丸く収まり過ぎていた。
事後トークで、斉藤陽一郎氏は、二度出演の場面があり、それくらい青山監督との関係が深かったという。三宅唱氏は、高校生のときに『ユリイカ』を観て、日本人にもしっかりした監督がいることがわかったという。本作には様々な人間関係や題材が描かれているので、観る人によって、違った主題を感じるだろうという。正面から向き合うことの大切さが強調されていたが、斜め後ろからの視点も使われ、観客もまた、覗き込まれていたという。佐藤公美氏は、三浦春馬氏の眼差しが素晴らしいという。