劇場公開日 2011年5月14日

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「俺はっ やってやる」富江 アンリミテッド kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0俺はっ やってやる

2021年10月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 1年前に死んだはずの富江が誕生日に戻ってきた。家に入るなり、「キャビア、フォアグラ、キャビア、フォアグラ」と父親に甘える富江。いや、その前に死んだ娘の誕生日を祝うなんてどんな家族なんだ!と、疑問に思いつつも、最後には納得させられた。

 ストーリーそのものよりも徹底した恐怖ビジュアルと怒濤の不条理シークエンスによって緊張、困惑、混沌という感情に加え、柔道部のメンバーや月子(荒井萌)の親友佳恵(多田愛佳)が可哀想になってくる。もっと悲惨なのは母親(川上麻衣子)だったかもしれない。とにかく、今までの富江映像作品に比べると、増殖、連鎖の点では群を抜いている。ただ、「最も原作に近い」などと言われても原作を読んだことがないのでピンとこない・・・

 冒頭からグロテスク映像が炸裂し、死んだ人間をなんとも思わない奇異な両親。そして例のごとく家族愛よりは偏執愛へと父親は変貌し、殺してしまいたい感情に苛まれる。それは柔道部の俊夫くん(大和田健介)も同じで、富江シリーズの醜い部分が最高潮になる。やがて、妹の月子も富江と似たような状況に陥るというオマケ付きだった。

 井口昇監督は『片腕マシンガール』の時にも感じたけど、ジャパニーズホラーの枠に収まりきらない天才肌さえ感じ取れるのだ。むしろ、サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』シリーズのようなわけのわからない恐怖映像。死んだ姉が転校生として妹と同級生になってしまう理不尽さも吹っ飛んでしまうのです。また、女の子たちの演技が良ければ満点にしてもいいくらい。この後に富江シリーズが作られてないことからしても、この作品を超えることができないからじゃないだろうか・・・

 節足動物は大嫌いなので、恐怖度増し増し。逆に人面創や血が噴き出すシーンに心地よささえ覚えてしまう。こんなのは絶対に子どもたちには見せられないなぁ~

kossy