「津軽そば」津軽百年食堂 odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
津軽そば
伝統の津軽そばをめぐるヒューマンドラマ。
青森県が観光の目玉として県内に残る老舗大衆食堂を百年食堂と名付てPR。そんな老舗大衆食堂、大森食堂は明治の創業、4代目を継ぐはずだった陽一(藤森慎吾)は頑固者の父、哲夫(伊武雅刀)と折合が悪く、東京へ出て風船アートという妙な大道芸で暮らしていたが哲夫が出前中に交通事故で入院、祖母の懇願もあり故郷弘前に戻って実家を手伝うことに・・。とストーリーはよくある故郷Uターン組の成長物語。
はじめ、津軽弁がよく分からず戸惑ったがドジな七海(福田沙紀)がふと発した津軽弁で陽一は同郷と気づき、二人の仲は急進展、啄木の歌に「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく」というのがありますが地方から都会に出て、孤独をかみしめている人にとって心にしみる のでしょう・・。
食堂の初代をオリラジのあっちゃん(中田敦彦)、チャラ男のイメージの藤森慎吾さん主演とは思い切ったキャスティング、学芸会にならないかと冷や々々しましたが意外にも器用に演じていましたね。
劇中でも弘前の桜祭りや八戸の漁港、美しい海岸線、お岩木山などが映されましたが本作は3.11の震災を挟んでの撮影、公開となりましたので製作陣、関係者には辛いものがあったでしょう、お察しいたします。
(脱線です)
本作の大森食堂のモデルは漫画「美味しんぼ」でも出てきた「三忠食堂」だそうだが他にも「幻の津軽そば研究会」を立ち上げた弘前城公園の「野の庵」や「田沢食堂」、黒石市の「すごう食堂」など数多いし、津軽そば処は老舗食堂に限らず五所川原駅にもあるらしい。
劇中で東京の客が麺に文句を言うシーンがあったが、東京のそばは江戸時代に持ち込まれた信州そばが基本、一方、津軽そばも起源は江戸時代だそうですがつなぎに大豆粉や呉汁(大豆を潰して絞った汁)を使っていますし、一度茹でたものを湯がいて出していますから食感は違って当然。出汁は鰯の焼いたもののワタと頭を取って天日干した焼き干しに昆布、醤油で仕上げているそうです。百年も地元で愛される味とはどんなものなのでしょう、一度、食べてみたいものです・・。