劇場版ポケットモンスター ベストウイッシュ ビクティニと黒き英雄 ゼクロム : インタビュー

2011年7月12日更新
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なんとも笑えるエピソードだが、わずか1時間ほどですべてを終えてしまう集中力はさすが。かつて映画で幾度となく経験し、「人よりは自信がある」と自負するアフレコでのこだわりも見せた。

「口を合わせなくていい気楽さと同時に、口を合わせないだけに心の部分でのタイミング、強さや重みをどう表現するか。(ゼクロムの)目が映った瞬間にはこのセリフがいいだろうとか、自分で決めたものと演出家のリズムとの兼ね合いに葛藤しながらやりました。短い間でしたけれど、非常に充実していましたね」

ゼクロムはストーリーの要所を締める存在だけに、それほど出番は多くない。「セリフが少なくて物足りなかったのでは?」と向けると、「もうちょっと言いたいとは思いましたけれど、この役柄であまり長かったら重苦しいドラマになっちゃいますから。いいところでスッと出て、ワッとセリフを言うのがいいんです」と謙そんしながらも、手応えありの様子。「おまえの正義は何だ?」と、バリトンの効いた声で実際のセリフ回しを披露したことからも自信のほどがうかがえる。

(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo ・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C) 2011 ピカチュウプロジェクト
(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo ・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C) 2011 ピカチュウプロジェクト

それ以上に、36年ぶりに「高橋英樹」の名前が日本映画にクレジットされる意義は大きい。日本アカデミー賞が創設された(1978年)ころ、東映の岡田茂社長(当時)に「会員になれ」と言われ、「映画に出ていないからならない」と固辞し怒られたこともあったという。それでも原点である映画への思いは持ち続けていただけに「感慨ありだねえ」としみじみ語る。

「おかげさまで、1年以上先まで(テレビの)スケジュールが詰まっていて、映画出演のお話をいただいたときにはすでに別のスケジュールが決まっていたんですね。やっぱりタイミングですね。その間はテレビというメディアでずっとやってきましたけれど、映画出身なので、やはり映画には大いなる興味を持っています。人一倍思い入れがあるので、今回、どんな形であれ日本映画に参加し、多くの方に見ていただくことができる。この作品は大勢の方が見てくださることが確約されているのでありがたい。本当にうれしい」

最近はバラエティ番組でもおなじみで、ポケモンの出演によってさらに子どもたちへの認知も広がりそう。だが、映画ファンとしてはやはり“生”の高橋をスクリーンで見たい。

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「そりゃあ、出たいですよ。それなりのオファーを待って、どんなものでもやってみたいですね」

ますますどん欲になっているようで、期待がもてる。さらにポケモンへの出演は、将来、愛娘のフジテレビアナウンサー・高橋真麻が結婚し、子ども(孫)ができたときに自慢できるのでは? と余計な想像も膨らんでしまう。

「僕の理想は、娘に早く子どもができて、その孫をねこかわいがりすることなんですよ。娘が『プレッシャーをかけるな』って言うからあんまり言わないけれど(笑)。だから、孫がポケモンを好きになったら、一緒に通い倒すでしょう。おじいちゃん、これやったんだって自慢もね。理想ですけれど、理想は捨てないようにしたいですね」

くしくも、ゼクロムのキャッチコピーは「理想の黒」。高橋の日本映画復帰を祝うとともに、早く理想が現実になることを祈りたい。

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