人生、ここにあり!のレビュー・感想・評価
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コメディとは思えない
コメディの括りにされているみたいだけど、
コメディではないよね。わりと重い話だし。
非常に難しい話。
精神疾患を患っている人とはいえ
まったくおかしくなってしまっているのでは無く、
人より感情が過敏になりすぎてしまっている人が多く
一定の作業なら出来るし、健常者が感じるようなことも
普通に感じているわけだ。
出来れば普通の生活を送らせてあげたいが
物語のようにあれだけの人数が居れば
健常者であってもトラブルは起こるもの。
それが精神疾患を患っているのであれば尚更。
薬漬けで、病院に縛り付けてしまえというのは考え方としては
分からないものではないが、全員が危険であるというものでもないわけで
バッサリ割り切ってしまうのは危険なことだと思った。
物語で暴力だったり、自殺だったりと危うい人々も
現れることを鑑みても結論づけることは難しい。
主人公のネッロは登場した時から精神疾患について無知過ぎて
自分が何とかできると思っている部分が多々あり非常に危険だなと思っていた。
案の定ジージョが物語中で自殺をしてしまう。精神疾患を甘く見ていた結果だと思う。
とは言え、病院に縛り付けて薬漬けで生きるのも、
できる限り普通に働いて生きていくのも、リスク自体はどちらも
変わらなくあるものだ。人間は神様ではない。
全てに責任を負うことはできず、どんな状況であれ
ひとりひとりが周りに助けを求めてでも生きていかなければなるまい。
ネッロは患者というか組合員に多大な愛を注いでた。
人ができる限界で最大のことだと思う。
実話を元にしているらしいが、ネッロが映画の主人公の様な
人物である事を願う。
今ここ!
森田療法や作業療法を連想させるアプローチです。過去を振り返るよりも目の前の生活を切り開いていくという違う意味での「今ここ」を大事にすることにちょっとはっとさせられました。
稼いで食べて恋をする人生。
名画座にて。
1983年のミラノを舞台に、精神病院廃絶法により実社会へと
放り出された(なんと実験的!)元患者達の労働組合を結成し、
床貼り事業を立ち上げるという実話をベースに描かれた作品。
組合長を取り仕切ることになるネッロという熱血漢のオヤジは
元患者達とのやりとりの中でも常に「稼げる」をモットーに掲げ、
精神を患った元患者にでも稼げる仕事、成功する仕事を探し
彼らの先導を担うのだが、これがいかにもイタリア人気質の
明るさとユーモアで描かれるため、お涙頂戴の感動劇よりも
純然なコメディの中に、現実が入り込んでくるリアル感がある。
そうは簡単に成功するはずもない彼らの事業が、
とある分野(それぞれの)に長けた技術力(各々)の発揮により
素晴らしい成果をあげていく様子が微笑ましく描かれ
社会に溶け込むためには、必ずしもテキストに書かれていない
人との繋がりから学ぶということ、欲に忠実であること(爆)も
イタリア人ならでは♪という感じでまったくもって嫌みがない。
もし日本で同じような試みが為されたなら、
すぐさま子供達は屋内に閉じ込められて(危険がないように)
彼らを「病院ではないどこか」へ疎外させる運動が起こりそうだ。
他人との付き合い方で精神を病む人が多い昨今だが、
他人との繋がりなくしては生きていけないのが人間でもある。
それを遮断し薬で平静を保つことが果たして幸せなのかどうか。
1人の元患者が若い女の子に恋をして精神を乱し始める。
結果、誰もが想像しなかった悲劇が起こるのだが、では彼は
恋など知らないまま一生を終えた方が、幸せだったろうか。
愛されずに精神を病むくらいなら、愛を知って苦しむ方がいい。
絶望も悲しみも味わったことがないからブチ切れてしまうのだ。
(だから何度も訓練を積むわけよ)
彼らを理解することは難しいかもしれないが、
他人を理解すること自体、一生かかっても出来るものではない。
まずは自分から理解しないと。
(自分を好きになること。長所も短所も悪態も弱点も全部含めて)
イタリアバンザイ!
イタリアの知らなかった一面が知れてよかった。
ありがちな人間讃歌とかキレイな美談で終わらせず、厳しい現実もキチンとポイント押さえて盛り込んでるのがさすが!
元気になります。
コワモテの仏頂面のお兄さんにあの役を任せるところはなんという適任⁉人事のセンスありすぎで、笑えました。
たくさんの人に観てほしい!
『働かざる者、喰うべからず』は人間らしさの始発駅みたいなもの
精神病患者の就職という深刻な課題をユーモアたっぷりに交えて重さを排除した今作は貴重な世界観と云えよう。
実話がベースなだけあって、事業の立ち上げから運営、対立、トラブルetc.展開が緻密にかつ、痛快に進み、ちょうど良い案配の人間讃歌を奏でている。
ファンタジー色の強い『八日目』よりビターやけど、ジャック・ニコルソンの『カッコーの巣の上で』よりは甘い、中間層の味付けっていうのかな?
仲間の若い職人が色恋沙汰の果てに自殺してしまうのは『カッコーの…』を彷彿とする苦味を漂わせ、社会の厳しさを痛感させる。
だが、オネエちゃんとオイタするスケベな了見や、差別者に怯まず皮肉めいたやり取りで応酬する毒っ気満載なポジティブ思考は、イタリアならではの突破口なのかもしれない。
ある意味、偉大なる先駆者フェリーニの『道』への回答とも云える。
精神病の知識なぞ全くのゼロのまま、業界に飛び込み、七転八倒する主人公の奮闘は、いつの間にか老人介護の業界に就いた自分に重ね合わせ、観入ってしまった。
入居者のお年寄りには精神の病を患った方々がとても多く、未だにコミュニケーションに苦労するからだ。
夜寝ないでずっと廊下を徘徊しまくるのなんざぁまだまだ序の口で、中には隠し持ってたハサミでリストカットするお婆さんに出くわし、深夜に大パニックとなった先輩もいる。
今作で「働かざる物、喰うべからず」の下、取り得を手中に生き甲斐を持つ喜ぶ仲間達の明るさは、自分のこれからのヒントに少しでも成れたら良いなと思う。
では最後に短歌を一首
『行き場無き 廃材集め ハメるドア 稼ぐ腕前 現場でイカせ』
by全竜
生きる意味、働く意味
実話を基にしたイタリア映画
労働組合員のネッロが、
上司から反感を買い、窓際に左遷させられる。
その先は精神病を患った元患者達の組合だった。
元患者達の組合の仕事は切手を貼ること。
単純作業で納期もノルマもなく、
作業をしなくてもお金はもらえる環境・・・
薬づけで廃人となっていくだけの人生。
健常者でもこの環境に置かれたら、
精神崩壊を起こすと思う。
1.左のバケツの水を右のバケツに移す
2.右のバケツの水を左のバケツに移す
これを永遠と繰り返す作業をさせると、
人間は精神崩壊を起こすらしい。
ほぼ意味の無い、非生産的な環境に身を置いた廃人達に
ロッソはある提案をする。
1.非生産的作業だけど、お金をもらえる現状維持の人生
2.自由経済に参入し、利益を追求する仕事をする人生
皆は2を選んだ、ここから色々なストーリが始まる。
ストーリのテンポも良く、
最後まで飽きないで観ていられる。
100%ハッピーエンドではないが、
生きる意味、働く意味などを考えさせられる映画
生きるエネルギーを貰えた。
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