東京家族のレビュー・感想・評価
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邦画の良さが出てます。
テレビでの放映で観ました。つい自分の家族と照り会わせて観てしまった。キャストはみんな名演技でした。特に橋爪さんの演技は最高でした。ちなみに蒼井優が演じた女性が出来すぎで実際にこんな女性はいるのだろうか?(笑)
名作と震災
この映画の元となっている小津安二郎監督の60年前の作品は世界中の映画人に愛される。なぜだろう。この答えを探しつつ鑑賞した。低いアングルからの画像。何気なくびっしり何か様々な生活道具。家族はいつかチリジリバラバラとなるのを予期させる身勝手な個々の言動。東京と瀬戸内海では明らかに異なる時間の流れ。山田監督やカメラマンたちはその何気ない風景などを音とともに静かにしかもシッカリ撮影し記録している。結果、人間の壊れやすい体質が暴露される。例えば老父、息子、娘や親族たちも全てが不完全な性格を宿したまま平然と生きている。老母のありがとうの言葉は相変わらず響きが美しいが。 ところで、老母の突然の死は東日本大震災の悲劇に直面しなければならない私たちに突きつけられる刃のごとし。家族は死を上手く引き受けることが出来ない。震災以後は絶望でなく「希望」が大切なことも再度痛感しました。
考えさせられる・・・
山田洋次監督からのメッセージがたくさん入ってる作品。家族や大切な人、人との関わりの有り様が変わってきてる現代社会に問いかけてくる作品。みんな自分のことで一杯一杯で、気持ちや時間のゆとりが無くなってきて、利己主義的な考えに世の中がなっていくことの警告でもあると思った。
小津調と山田洋次調のコラボ
本作は小津安二郎監督の「東京物語」が元になっています。山田洋次監督は小津監督への敬愛の念をこめてカメラを取ったと発言していますから、小津調として有名なあのカメラワークとあの特殊な映像空間をそれなりに継承することが求められていたように思います。となると、小津映画に思い入れのある観客の目は厳しくなってしまうのですが、山田洋次監督は大部分、その問題はクリアできていると私は判断しました。
小津調の最も分かりやすいポイントが、フィックス・ショットです。これはカメラを動かさずに対象物を撮る手法で、誰しもが使っている撮影手法ではありますが、小津の場合はこの撮り方のみに拘泥し、移動ショットが全くありません。そこが彼独特の撮り方なのです。小津調に関してはそれで学問になってしまうぐらい議論されているので、関心のある方は例えば、「監督 小津安二郎 (著 蓮實 重彦 ちくま学芸文庫) 」などを参照されることをお勧め致します。
本編の大筋は原作と変わりません。時代が戦後から現代に置き換えられていること以外に、老夫婦の外泊先が熱海から横浜になっている点など、これらも今風に調整されているだけで私は問題ないと考えています。小津調の継承については、フィックス・ショットのみで構成されているので基本的には問題ありません(例外として3箇所ほど無駄な?移動ショットがありますが)。しかし、小津映画において男の世界とされる住居の1階部分と、女の空間とされる2階を接続している「階段」が滅多に撮られなかったのに、本作では安易に映ってしまっているのが個人的には(小津調を考えると)残念でした。
しかし、小津調を遵守することのみに気を遣って、山田洋次監督らしくない作品になってしまうのは本末転倒です。監督はその辺りの舵取りがしっかりしていて、上手に現代の観客の嗜好に合わせた映画に仕上がっていると思います。
最後になってしまいましたが、この映画は小津映画が分かっていることを前提に作られた映画ではないように思われます。つまり、小津映画を見たことがない人でも十分に楽しめるようになっているのです。そして、小津調を知っている人にとっても、山田洋次監督の小津調へのオマージュが感じ取れるようにもなっています。色々と書いてしまいましたが、個人的には老若男女問わず、構えずに観て欲しい映画です。
どちらでもいい作品、見ても見なくても
2月22日、楽天地シネマで鑑賞。
山田洋二監督が、この現代に、小津調の映画をどんな形で残そうというのか。
結果的には、すべてが予定調和的で、それ以上のものはない。
「東京物語」というほぼ永遠に残る作品がある以上、本作がそれに近づこうとしてもまったく及ばないのは明明白白。
もちろん、それなりの完成度がある作品なので、見て損する、とは言わない。
しかし、見ても見なくてもいい作品であることは間違いない。
そのどちらでもある、という意味では、わざわざ見るほどのものではない。よって、評価は上記のとおり。
笠智衆さんの偉大さを、あらためて思い知りました。
「東京物語」は見ていますが、あまり好きではなく、特に思い入れもありません。
この映画の内容については特に比べる気はないし、個人的にはそれなりにいい映画だと思いました。
でもキャストは比べてみたくなりました。
笠智衆→橋爪功、原節子→蒼井優、戦死した息子→フリーターのような人 妻夫木聡。
この配役を見ていたら、悪いとは言わないけど、それなりになるのはしょうがないような気がした。
特に笠智衆さんのところ。自分の中では「東京物語」というか、小津監督の作品イコール笠智衆さんのイメージになってしまっている。
小津監督の演出もすごかったのかもしれないけど、笠智衆さんの存在感もすごく大きい。
何もないし、何もしない、それではダメのような気がするけど、なぜか一番大きい存在になっている。
山田監督の作品で、一番好きな映画は「家族」だけどそれにも出演していて、一番大きい存在だった。
「寅さん」にも出演していたけど、御前様のいない「寅さん」は考えられない。
関係ないけど、今年は初詣に葛飾柴又の帝釈天に行って、寅さん記念館と山田洋次ミュージアムにも行ってきました。
山田洋次ミュージアムに「東京家族」のコーナーがあって、ワンシーンだけだけど、オリジナルのラストシーンとこの映画のラストシーンを比べる展示があった。
そっくりなのだけれど、やっぱり笠智衆さんの写っているオリジナルの方が明らかにいい。
笠智衆さんの偉大さをあらためて思い知りました。
この作品を観る人も観た人も、『東京物語』をレンタルしてください。
最後の最後に「この作品を小津安二郎に捧げる」というようなクレジットが入ったけど、どうかなぁと思った。
この作品「東京物語」(1953年・松竹)の不完全なリメイク版なのだが、それでいて146分破綻なく観せきらせてしまうのが凄い。職人技だ。
この時期に公開するというなら3.11を風化させない為にも、二男昌次は津波で行方不明という設定にしたらどうだったろうか?(『東京物語』では戦後8年未帰還兵という設定)
その妻紀子の心の葛藤と義父母への愛情を描けば、たとえリメイクとしても作品としての完成度は高まったはずだ。原節子と蒼井優の「紀子」の比較も味わいたかった。
『東京物語』のラストに近いシーンで義父(笠智衆)が紀子に
「言わば他人のあんたが、わしらに一番ようしてくれた」
というシーンが印象的だった。
ちなみに、『東京物語』は本作を観るための予習として7泊8日100円レンタルで初めて観た。5回観たけど、まだ小津信者じゃありません。
山田監督は結局自身の80作品(ギネス・レコード?)へのオマージュなりリスペクトを捧げたかったのではないかと勘ぐってみたくなる。
蒼井優フォロワーとしては、出番は少ないし肌のコンディションも悪かったりして残念。でも、妻夫木聡をようやく見つけたのでフォロワーになってみようかな。
ターゲットは若年層?
「東京物語」が非常に忠実にリメイクされている.冒頭の電車(原作は汽車だが)が走っているシーンや,家の中の撮影アングルなどは白黒の映像がだぶって見えるほどだった.山田洋次監督の深い深いリスペクトが感じられる.
ただ,見終わった直後はリメイクした理由がよくわからなかった.あれだけの名作ならよほどの理由がない限り原作を見れば良いと思ったからだ.名作だけに設定から撮影方法,果ては「ありがとう」のイントネーションに至るまで執拗に原作と比較してしまい,素直に楽しめなかった.もちろんそんなことは山田洋次監督は分かった上で作っているのだとは思ったが.
それでもよくよく考えてみれば,笠智衆も原節子も杉村春子も知らない人には1953年の白黒映画を見ようというきっかけなどほぼ皆無なのはたしか.「東京家族」を通して間接的にせよ「東京物語」にふれ,豊かさの中で失われていく家族の絆に思いを馳せる機会を得た人も多いとすれば,リメイクにも意味があったのかもしれない.
PS.ロケ地が東京やその周辺の風景を写しているので,東京の西部から川崎辺りに済んでいる人には「ここどこだろう?」と推測しながら見る楽しみもあると思います
自分の今と照らし合わせグっとした。
家族のありがちな光景
時々こんな敬語?な会話に??だったり
緩やかな中盤までの展開に疲れ気味の鑑賞もあり
うとつくも
子育てを少なからず経験し
老いていく父母に感謝したり、疎ましかったりな
今ある自分が胸をつまされる。
橋爪さんは上手すぎて、天邪鬼な自分が
負けまいとしてしまうが
吉行さん・妻夫木君に泣かされました。
日々何気なく過ぎ行く幸せ
最近の名匠・名優の作品の中で一番の秀作です。
是非雑念の入らない劇場での鑑賞をお勧めします。
切なくも温かい後味。
互いを労りながら暮らす老夫婦の命を丁寧に描写。
もっと全編を通して優しさ満載にしてほしかった思いは残るが、
観賞後に広がる後味は慈愛に満ちていて満足。
周吉(橋爪功)、とみこ(吉行和子)に、
昌次(妻夫木聡)と紀子(蒼井優)。
彼らの幸せが胸を充たした瞬間描写が、
仄かな嬉しさの持続こそ生きる希望だと伝えるメッセージとなり響いてくる。
大きな仏壇
時に家族は他人よりも残酷だ。
実の息子や娘よりも
他人の文子や紀子の振る舞いのほうがよっぽど甲斐甲斐しい。
でも。。。それが、家族なのだ。血の繫がりなのだ。
どこにでも嫌みな親戚のおばちゃんがいる。
どこにでも頼りない従兄弟のお父さんがいる。
そんな他人からすれば、関係を遠慮したいような人々の言動も行動もすべて
血縁であれば受け入れるしかないし、許せてしまう。。。
所々に現代への風刺を交えつつ、現実に有りえるであろう家族像を見事に表現している映画でした。
東京で暮らす息子の家を訪ね、息子の彼女と三人で楽しい時を過ごし、息子から彼女との成り初めの話を枕話にできた
お母さんの人生はその一瞬で昇華され、喜びも嬉しさも感謝の念もお母さんのすべての想いが自分の感情と同化され、涙が止まらなかった。
最後に田舎で独りになるお父さん。
でも、お父さんには町の人々が居て、隣のユキちゃんも居るのだ。
「たしかに豊かになって、便利な世の中になったけど、お前らにこういう世界はないだろ」と山田監督に言われているようだった
昔は田舎のどこの家にもあった大きくて立派な仏壇
もちろん、平山家の実家にもある訳で。。。
大切にしなきゃいけないなぁ。
林家正蔵は落語より、いい
以前、小津安二郎のインタビュー映像をみた。「こんなのをつくる者がひとりくらいいてもいいだろう」と言っていた。続けて「いやならみなきゃいいんだから」えっ小津ってこんなこと言うの。でも、そんな気概があったから、あの作風はできたのだろう。黒沢明は「蝦蟇の油」に書いている。「彼等は、昔ヒットした作品を永遠に追いつづける。新しい夢は見ようとしないで、古い夢ばかり見たがる。再映画化は、絶対に前の作品には及ばない、という事が実証されているにかかわらず、未だにこの愚行をくり返している。これこそ正真正銘の愚行である」
新藤兼人は100歳にして傑作を創造した。山田監督には傑作を創る時間がたっぷり残されている。
橋爪功は凄い。
山田洋次監督による、普遍的な家族の物語。
橋爪功と吉行和子の些細な言動が時の流れを静かに感じさせる。
本当にみんなの演技が今そこにあるみたいに自然で、役柄も多彩。何かははっきり分からないけど、家族の核みたいなものを捉えているから誰でも感情移入できる。
他の観客はお年寄りが殆どだった事もあり、鑑賞後にはおばあちゃんの事を思い出した。偶然にも良くおばあちゃんと2人できた映画館でもあった。この作品も一緒に見たかったな。もっと大切にしてあげたら良かったな。
某有名シネコンで観たが、前途の通りお年寄りが多かった。マナーに関して、上映中の会話やおかきのようなものも食べるし、幾度も携帯は鳴る。だが、この光景も許せてしまう不思議な映画。
素晴らしい作品。
『東京家族』 優しいひかりに満たされました!!
“「事実」はそのままの形では単なる日常経験の範囲を出ない一時的な現象であり、普遍性もなく、従つて形而下的な経験たるにすぎないものだが、「真実」は普遍的であり、現実の圏内を越えた形而上の真理の世界に属するものである。簡単に云えば「事実」は経験するものであり、「真実」は直観するものだとも云えよう。(中略)従つてその印象性においては「事実」の方が強く、その浸透性においては「真実」の方が強いと云えるかも知れない。” 『シナリオ構造論』 野田高梧
映画館へ行くと、本編が始まる前に、いろいろな映画の予告編や、携帯電話の電源を切るようになどと注意する映像が流れる。これらの映像のあとの『東京家族』の最初の風景、東京郊外の住宅地の坂道が、なんとやわらかく優しいことか!この場所は確かに、2012年5月の「東京」であるけれど、「虚構の真実」に包まれ、満たされる思いがするのは、この映画がfilmで撮られたことに、はっきり関係するのだろう。
『東京家族』は、小津安二郎監督に捧げられた映画だが、ここでひとつ想起されるのは、2003年に「小津安二郎生誕100年記念」として制作された、侯孝賢監督の『珈琲時光』である。『珈琲時光』は、台湾の侯監督が、小津監督を敬愛する幾人もの日本の監督の作品を引用する事によって、間接的に「小津安二郎」を照射するという構造をもった作品だったが、その日本人監督たちの筆頭にくるのが、山田洋次監督である。
今回、山田監督は、あの時の侯監督の映画に呼応して、更に、真正面から小津安二郎監督に向かい合ったのが、この『東京家族』だと、私は思っている。
“兄妹”の配役で、驚いたのは、中嶋朋子が杉村春子だったことだ(笑)。
そして、現代の「原節子」の山田監督の答えが、蒼井優。おふたりとも、ほんとうに、素敵だった!
横尾忠則氏の原色が輝かしい鳥と男のポスターを、いつか私も部屋に貼っていた事を思い出したように、山田監督の映画には、細部にたくさんの想いや物語が織り込まれているので、私も今回、そのいくつかに気付いたし、たくさんの他の細部には、気付けなかった。なぜなら、涙でスクリーンが見えない場面も多かったから。
それは、もういちどこの映画を観に行ってから、別の場所に書くとして、最後に、『東京家族』に関わったすべてのみなさま、すばらしい映画を、ほんとうにありがとう!!
生き会えて良かった
父母が上京し、久しぶりに顔を揃えた家族。喜びながらも子ども達にもそれぞれの生活があり…。
「東京物語」を下敷きにしながら、山田洋次監督が描いたのは平成の今を生きる家族。
先のさっぱり見えない時代の家族を優しく描いていました。温かい余韻でした。
長女の台詞が「東京物語」を強く意識した感じで違和感があったけど、お国訛りの笑顔でストンとおちた気がしました。バブル景気の頃意気揚々と東京に出た明るい女性像に中嶋朋子はぴったりで、急に同年代の妹や従姉妹と重なりました。
次男と彼女の存在が、みずみずしい印象でとても良かったです。蒼井優演じる紀子さんの芯のある優しさに泣けました。30代になってからの妻夫木聡はなかなか見応えあるなと思いました。
生前、明治生まれの祖母を訪ねるといつも「生き会えて良かった」と喜んでくれたものですが、歳を重ねるごとに言葉の意味が身にしみます。
広島県内のロケ地をよくご存知で、それを楽しみに鑑賞される方も多かったからか、特に後半は場内が騒然としてちょっとビックリ。
瀬戸内の穏やかな情景は優しく美しかったです。
気負いなく見れる日本の映画、
どこにでもありそうな日本の家族を淡々と描いて良い作品です。さすが山田監督の作品ですね。両親が東京にいる三人の子供を訪ねて来ることで、3・11の事も組み込んで今の日本の事情をさりげなく表現しています。やさしい母親、厳格な父親、悪気はないけど、生活に追われる子供たち。末っ子の結婚に喜ぶ母親が急死するのは、故郷に帰らせる為?父親と向かい合えなかった末っ子が彼女と故郷に行く事により和解できた。この映画は母親役の吉行さんメインパーソナリテイの気がします。演技もほのぼのします。
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