劇場公開日 2011年10月22日

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「原作者のカラーが活きている」スマグラー おまえの未来を運べ gsacraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5原作者のカラーが活きている

2011年10月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

本作の原作は、「ウシジマくん」の作者がかなり前に描いたものだそうですが、本作を見ていて「真鍋ワールド」というか、「ウシジマくん」と共通するものが感じられました。

普通ならなかなか触れることの無い『地下世界』の描き方。登場するキャラクターたちはそれぞれアクが非常に強いが、鼻にはつかない、というか愛着すら感じさせる巧妙さ。シリアスで恐ろしい展開なのだが、どこか間の抜けた空気感を散りばめてリアルではなく別世界のことのように感じさせる上手さ。

石井監督、丁寧に作られたな~と感嘆しました。

どんなものも運ぶ運び屋家業というアンダーグラウンドな世界に“なんとなく”足を踏み入れてしまった凡庸な若者を中心に、「背骨と内臓」というぶっとんだ名前の殺し屋とか、高嶋正伸演じるオムツをはいて拷問を楽しむ狂犬ヤクザとか、キレキレにキレまくったキャラたちがそれぞれの独自世界を好き放題に展開する本作。見終わったあと何かを得たような感じは全くないのですが、見たことに後悔は感じませんでした。

考えてみれば、「ウシジマくん」の読後感も同じような感じなんですよね。
充足感はなく、後悔も無く、空しさも感じない。明確な効用は特に感じないのですが、なんとなく読みたくなってしまう。

本作を見終わったときの気分もこんな感じでした。いずれまた見てしまいそうです。

gsacra