「映画なんざぁSFはSF、西部劇は西部劇ってぇ分けてみるに限る。ゴチャ混ぜにしたらロクな事ぁ無い」カウボーイ&エイリアン 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
映画なんざぁSFはSF、西部劇は西部劇ってぇ分けてみるに限る。ゴチャ混ぜにしたらロクな事ぁ無い
ハッキリ云うて中身は予告編で充分。
意外とオーソドックスな活劇で、SFアクションとしても西部劇としても中途半端感がハンパやない。
主演コンビに加え、監督がジョン・ファブローで、製作総指揮がスピルバーグ、製作がロン・ハワードという天下の豪華布陣が何くだらない代物創ってんだってぇバカバカしさを笑うのも映画の楽しみ方の一つかもしれないが、大先輩の『宇宙戦争』がとっくにやらかしてしまってるからね。
あの大コケぶりには、かないっこないよ。
宇宙人が人間を次々誘拐する目的は、地球人の生態系を調査、肉体を解剖するための標本作成なのだが、冒頭から片っ端に問答無用で殺しまくっているんやから、いちいち研究する必要性がサッパリわからない。
この矛盾も『宇宙戦争』で既にツッコミ済みである。
頑丈なUFOにガンマン達の拳銃なんざぁ効くワケがない中、唯一通用する武器は記憶喪失のダニエル・クレイグの手首に装着された謎の腕輪型バズーカのみ。
消去された背景を蘇らせていくのが物語の鍵なのだが、あまりにもバズーカの威力が強過ぎて、どんなピンチでも簡単に切り抜けるから緊迫感なぞ皆無。
インディ・ジョーンズ親分がクリスタルスカルをボンドに譲ってるようなもんじゃねぇか。
水戸黄門の印籠レベルの安心感すら漂う。
しかも、最初はライフルで撃たれても平気やったくせに、後半じゃインディアンが槍で刺したぐらいの攻撃でくたばっちまったのは拍子抜けした。
その決戦自体、おもいっきり地上戦、いや地底戦を繰り広げ、もはや宇宙人である意義すら見失う有り様だから批評の仕様がない。
クライマックスに連れて急激に弱まっていく御都合主義も『宇宙戦争』で実証済みなので、全編通して云えるのは、
「勝手にしやがれ」
の一言である。
こんな茶番なんかより、血ダルマで拘束されたカダフィ大佐のニュース観てた方が面白ぇや。
生け捕りにしたハズなのに何でマイッちまったんだろう?
宇宙人共もそういうミステリアスな恐怖見習って生け捕りにしやがれってもんだ。
相変わらず云いたいこと喚き散らしているテメェが一番残酷な生物やとツッコまれる前に短歌を一首
『愛さらふ 閃光はぐれ 追ふ荒野 道(未知)を貫く 手錠の覚え』
by全竜