学校をつくろうのレビュー・感想・評価
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素材は悪くないのだが、物語としての「踏み込み」には大いに不満
<映画のことば>
われわれは、日本語で法律を講ずることを望んでいます。
いつまでも、英語やフランス語で学んでいたのでは、近代法をわが国のものとすることはできません。
海外から日本に来た留学生は、ほぼ一様に、最高学府である大学の講義が、どの科目も日本語で行われていることに驚くと聞き及びます。
日本でも、諸外国のように「大学の講義は英語で」ということにすれば、他国のように教員に優秀な人材を得ることは、比較的に容易なことでしょう。
(日本語で講義をする限り、講師は日本語が堪能な人材でなければならないという限定がかかってしまう)
「他国からの借り物ではない法律理論・経済理論を講ずるため」という「お題目」には、きっと、たぶん、おそらく、人材の得やすさを犠牲にしても、なお貫き通す価値が、きっとあることをでしょう。
実際、「母語を土台にしないと、別の言葉は習得できない。英語が上達したければ、正しい日本語を学ぶことが先なのだ。」という識者もいらっしゃるようです(占部賢志:中村学園大学客員教授)。
それが本作で描こうとするポリシーだったのだとすれば、単にセリフで片付けるのではなく、何か、エピソードの一つも盛り込んで欲しかったというのが、おそらくは、観る者の一致した感想ではなかったでしょうか。
なるほど、本作は某私立大学の創立130周年記念事業として事業化(製作)されたもののようです。
所詮(しょせん)はプロモーションビデオ(失礼!)なのだから仕方がないという見方もあるでしょうけれども。
反面、プロモーションビデオだからこそ、多くの人に観られて、人口に膾炙(かいしゃ)するようでなければ「プロモーション」としての役割を果たしていない―とも言えます。
素材は決して、決して悪くはないのですけれども。
そういう意味では、物語の、いわば「味付け」「踏み込み」としては、大いに残念な一本だったと、評論子は思います。
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