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「巨匠ふたりが組んだ戦争悲話の祖国愛が、映画的な感動を生む記念作」ロベレ将軍 Gustavさんの映画レビュー(感想・評価)
巨匠ふたりが組んだ戦争悲話の祖国愛が、映画的な感動を生む記念作
敗戦が濃厚になってきた北イタリアを舞台に、ゲシュタポの手先としてレジスタンスの指導者ロべレ将軍に成り済ましてスパイ活動する詐欺師の中年男の物語。牢獄でパルチザンと接触していく中で徐々に愛国心に目覚めていく姿を、ヴィットリオ・デ・シーカがユーモアを含めて見事に演じている。戦後はネオレアリズモ映画の監督として名を馳せたデ・シーカ監督は、戦前は俳優として活動していたという。自作の監督作品で演技をするのとは違い、いくら監督仲間とは言えロッセリーニ監督の演出の下でのこの演技には、自信に裏打ちされた凄みまで感じさせる。そして、ロッセリーニ監督は、地味ながらその名演をラストのクライマックスに導いて、映画的な感動を演出している。この作品は、イタリア映画黄金期を代表する二大巨匠の技が高いレベルで和合した記念すべき傑作である。
1984年 10月8日
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