「ふたつのきょうだいの絆物語」鋼の錬金術師 嘆きの丘(ミロス)の聖なる星 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
ふたつのきょうだいの絆物語
「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」の劇場版。
DVDで2回目の鑑賞。
原作は既読、テレビシリーズは未見です。
第2期は第1話を除いて原作に忠実にアニメ化されており、ファンから大絶賛されたそうですが、本作は完全オリジナルにして、サイドストーリー的な立ち位置の作品でした。
「ホワイトアウト」や「アマルフィ 女神の報酬」などの原作者で知られるミステリー作家の真保祐一が、脚本を書いていることに驚きました。「ドラえもん」の映画の脚本も書いていましたし、マルチな才能ですねぇ…
本編を観ていなくても、登場人物や世界観の基本的な情報さえ知っていれば、すんなりと作品世界に入り込むことが出来る良心設計! テレビシリーズの主筋から完全に独立しているところも、非常に観易いポイントでした。
異民族間の相互理解、格差社会の問題を、見事エンターテインメントに落とし込んでいるなと思いました。弱き者が強き者に勝利するカタルシスが堪りませんでした…
テーブルシティに仕掛けられた思惑はとてつもないスケールで、さすが劇場版、これぞ醍醐味だなぁ、と…。アクションシーンの迫力もダイナミックで、手に汗握りました。
エドとアル、そしてアシュレイとジュリア―。ふたつのきょうだいの物語が感動を誘いました。家族の絆は、本当に素晴らしいものですねぇ…。道を違えてしまったとしても、絆さえあれば、いつだってやり直すことが出来る…
「シャンバラを往く者」よりアクションが増えているのも良き! エドとアルの戦いが存分に観られて好ポイント! 強大な力に魅せられ、禁忌に足を踏み入れてしまう人間の愚かさを抉り出すというテーマはそのままに、映画ならではの迫力あるストーリーが展開され、とても観応えがありました。