「オードリーのオールナイトパリ」シャレード(1963) 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
オードリーのオールナイトパリ
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バカンスから帰宅するとアパートはもぬけの殻で、さらに夫も死体で見つかるというショッキングな幕開けは、わくわくする。教会の葬儀に怪しげな連中が入れ替わり立ち替わり現われるシーンも面白い(何度か見ているが、詳細は覚えていなかった)。
ところがピーターが悪党どもと結託しているふうな内幕を早々にバラしてしまうあたりから、物語が渋滞し始める。レジーナがピーターに疑念を抱きながらなびいたり、かと思うと逃げたりする行動も不可解だ。そもそもピーターが悪党どもに取り入った経緯もよくわからない(この間大使館の仕事はどうなっていたんだろう)。ま、スタンリー・ドーネンの作風からして、そんなことはどうでもよく、楽しく見られるサスペンス編を撮れれば良かったのだろう。オードリーはローマを散策する話が有名だが、「パリの恋人」とか「パリで一緒に」など、パリでもあちこちオードリーしている。おシャレ度で標準点をクリアする戦略らしい。
オードリー・ヘプバーンが亡くなってもう30年以上経つが、未だに根強い人気があるようで「スクリーン」の読者投票ではベスト10に入り続けている。確かに現代では似たタイプの女優はなかなかいないかも。何と言ってもあの特徴的な眼である(一時期のウィノナ・ライダーが近い印象があった)。この映画の時には既に30代になっているが、相手役のケイリー・グラントは59歳で髪色もロマンスグレーだ。他の映画の共演者も、ハンフリー・ボガートだのフレッド・アステアだのゲイリー・クーパーだのレックス・ハリスンだの、当時50代の役者がやたら多い。そのせいでオードリーの妖精らしさは際立つが。
警部役の役者がいい味を出していた。
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