「台詞が無い(少ない)から良い」イリュージョニスト クリストフさんの映画レビュー(感想・評価)
台詞が無い(少ない)から良い
フランス制作のアニメーションですが、台詞はほぼ無い。
だから映像だけで感じる作品。その映像が秀逸。
エジンバラの風景が1950年代当時のそのまま(知らねえけど)描かれていて、
街並み、バスや車、汽車とかの繊細な絵はまるで実写。
PIXARとはまた異質の洗練さを感じる。
当時のエンタメ界では、手品というのは時代遅れで、
同じように舞台に上がっていた腹話術師も同様。
上の階の住人は首をくくろうとしていた。
せっかく舞台に出てもピンハネされて、
挙げ句バイト先でお金を無くす、とにかく切ない。
しかし最後の仕事を自分から辞めると言ったのは、
タチシェフのプライドか、手品師の気概か。
このままアリスとは別れるわけだが、
双方にはある意味ハッピーでは無かったか、解釈の問題か。
ただやっぱり映像がね、切ないの一言。
エジンバラの街の明かりが徐々に消えていく様。
途中、腹話術の人形とか、アリスがおねだりした靴屋とか、
最後舞台小屋の明かりも消えていって、という場面は、
「5億点」出てますね。ホント切ない。
今まで触れたことのない異質な映像なのは確かだが、
何かすごいモノを観てしまった気がする。
アメリカ映画界は常にフランスコンプレックスがあると、
町山智浩さんが言ってたが、
アニメでもこれは感じてるだろうなと思った。
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