「生きる力、勇気が貰える、落ち込んだ時は是非これで、元気に!!」127時間 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
生きる力、勇気が貰える、落ち込んだ時は是非これで、元気に!!
事実は小説より奇なり』とは昔から言われている事だが、もしもこの映画がフィクションであってくれたなら、どれ程よい事だろうか?と願わずにはいられない過酷で、悲しい現実に起きた真実の物語であった。されど現実とは、かくも想像も及びもしない運命の悪戯があるものらしい。もし神様がいるのなら、悪ふざけが過ぎると言ってやりたい事件だ。しかしその考えも及ばない悲劇を自力で克服してしまった凄い奴がいたのだと言うから驚きだ。誰も居ない砂漠のど真ん中で石に手を挟まれ身動き一つ出来なくなってしまった彼は、そのままそこで、誰にも発見される事無く一人ひっそりと最期を迎えてしまうのかと思えば、一度は諦めかけたものの、気を取り直し、決死の脱出を一人だけで、諦めずに見事に成し遂げ、生還を果たす迄の127時間を描いた本作品は、絶妙のカメラワークの素晴らしさに加え、音楽も巧みに使い、映画の70~80パーセントを占める岩場に挟まれた彼の姿だけを映しているだけのシーンの連続という、誠に珍しいシーン構成だが、それにも拘らず、決して一瞬たりとも観客の目を飽きさせる事無く、スクリーンにその目を釘付けにして離さないこの映画の力の秘訣とは、計算された、独自のテンポの有るカメラワークの展開と、映画の観客に主人公の苦悩と恐怖の緊張感をリアルタイムのライブニュースの映像を見ている様な緊張感を持ったままに、追体験させる事に見事に成功している。この演出力の高さとジェームス・フランコと言う俳優の演技力の素晴らしさとが相まって見事な成果を果たし、誰もがこの事故を我が身の様に追体験出来たと思う。
この作品は、生きる事の大切な意味と自分の力を決して自分からは諦めない事の素晴らしさを教えてくれる。日本には残念な事に、自ら自分自身の生命を絶ってしまう人が少なくない悩める社会に多くの人たちが生きているとも考えられるのだが、改めてこの映画を見ていると、厳しい現実の中でさえ、ほっと希望光が必ずいつも何処かに宿っている事に気付かされるのだ。それを求めて、諦めずに生きる努力を惜しまない事、まさにそれこそが、真実の迫力であり、重みだと言う事なのかも知れない。映画の中で、この主人公は、自分のこれまでの自分の人生の時間の総てが、今日この体験をする為にその過去の総てが起きていたように考えられると語るシーンが印象的であった。
是非、是非貴方も、この映画から生きる命の尊い事、諦めずに努力を惜しまず、自己の力を信じきる事の素晴らしい価値を感じて貰いたい。