「自殺したくなったら観てほしい。」127時間 X32さんの映画レビュー(感想・評価)
自殺したくなったら観てほしい。
岩に挟まれた男性が127時間をかけて救出されるまでを描いた映画です。
実話を基にしているので、結果はわかっており、さらに、岩の隙間が舞台になるので密室劇ともいえるので、ともすれば飽きそうですが、巧みな演出によりエンターテインメント作品に仕上がっています。
主人公は絶望的な状況におかれても、とてもポジティブに問題を解決しようとします。
評者はこの主人公の状況を、社会生活に行き詰まった人(恥ずかしながら自分)と重ねてみることができました。
仕事関係、家族問題などなど、人間が生きていれば、出口が見えない袋小路に追い詰められることはないでしょうか?
そんな困っているときに、誰かが手をさしのべてくれることはありません。
どうやったら、目の前の問題を解決できるのか、逃げられるものなら逃げたいが、それもできない。
そんなとき、評者は自殺しようとよく考えます。自殺サイトを巡回したりして、“どうやったら楽に死ねるか?”という事に思いを巡らせ、気がつけば朝を迎えていることもしばしばです。
結局のところ、残された家族のこととかを考えると、思いとどまるんですが…
しかし、この映画の主人公は、どうやって生き延びるか前向きに考え続け、挑戦をを繰り返します。
サバイバル映画は多々ありますが、まったく身動きができない状況で、それも孤独な状態で、ここまで生き抜く挑戦を繰り返す主人公が出てくる作品を評者は知りません。
映画の主人公は後半思い切った判断で、自分の命を救います。
評者は自分が同様の立場だったら、この判断ができるか悩みます。たぶんできないと思うのですが…この映画の主人公は、「行く抜く=辛いこと」から目を背けず、淡々と状況を分析しながら解決策を探します。
この地球上で、こんなに苦しい思いをしながら生き抜こうとした人がいる事を知ると、月並みですが「自分も頑張ろう」という気落ちになりました。
なぜかと言えば、評者はトラブルに直面したとき、自殺など負の出口を探すのに一生懸命になります。自殺の方法を探すことで、現実逃避ができ、それが楽しくもありました。この映画を観て、そんな負の気持ちを、前向きな方向を持っていくことはできないか?いまはそんな気持ちになっています。
いきなり気持ちが上向くことはないでしょうが、生き抜く力のかけらをもらえるような気がしました。
残酷なシーンがありますが、評者のように日々絶望視しがちな人には、ぜひ観ていただきたい作品だと思います。