劇場公開日 2011年1月8日

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「ビビビ」髪結いの亭主 きりんさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ビビビ

2021年3月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ビビビ!です。
踊れ踊れ。
一瞬は永遠。永遠は一瞬。

フランス本国なのか、はたまたフランス語圏アフリカのアルジェリアの街角なのか、
夢もうつつも渾然一体な、少年アントワーヌの白日夢のような映画でした。

マチルドの去った床屋で、相も変わらず踊ったりクロスワードパズルを埋めたりしながら、妻の帰りを待つアントワーヌなんですけど、

おそらく、次なるマチルドを彼は見つけるのだと思う(笑)

ブルドーザーで川を堰とめるような、単純で無謀な閃きをアントワーヌは実行してしまうのだから。

さて、
過去不明の天涯孤独なマチルド。その眼はいつも遠くを見ている。
・・彼女が幸せであったのか不幸せであったのかよくわからない。彼女の結婚は10年ほどであったけれど、波長が合ったらしい二人にとっては、あの10年は必要十分だったように見える。

幸福の絶頂をとどめて、ブリザードフラワーになったマチルド。本人がそう言っているのだからその通りなんでしょう。
ねっとりしたアントワーヌの視線をかわして、彼女は自分の個の人生をさばさばと生きるのです。これぞフランス映画って感じです。

ホタルは、成虫になるとわずか一週間の命だそうです。餌は食べずに、水だけを飲み、パートナーを探して命を終える。
相手を見つけてその一時だけ、それぞれの理由とか衝動とかが一致するその僅かな時間だけ、雌雄が同衾をするって、ホタルに限らず人間にもあるんでしょう。
一緒に生きる時間の充足度は、関わった時の長短には依らない。

この床屋には様々な珍客が訪れて人生模様を見せてくれました。
そして表通りからも店内は丸見え。
でもお構い無しの二人。整髪料も呑んじゃうとかはっちゃけている。人間って途中から壊れるんじゃなくて元々壊れてる。

例えばリンドグレーンの児童書を成長させれば“大人バージョン”はこんな感じになるのかな?
ル・コント監督の作品をもう少し探索してみたくなりました。気持ち悪さを覗き見る興味です。

日本人キャストで演るなら?
そりゃあもう岸恵子と山崎努でお願いします。

きりん
yolandaさんのコメント
2021年5月30日

きりんさん
ありがとうございます、恐縮です//(笑)
きりんさんのレビューも非常~~に面白いですし、博学で、ためになりますo(^o^)o
よろしくお願いしますm(__)m

yolanda