「ろくでもない退屈映画。原作と同じなのはタイトルと基本設定だけ。」嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん わたぼうさんの映画レビュー(感想・評価)
ろくでもない退屈映画。原作と同じなのはタイトルと基本設定だけ。
鑑賞直後なので、少々感情的になっていることをご了承いただきたい。
この映画は電撃文庫というライトノベルレーベルから出版されている小説の1巻が原作となっている。
自分はこの原作1巻を読み終わって数日後に劇場に見に行った。
結論から言えば、この映画は退屈で意味不明だ。
映画化に際し、様々な設定が増えたり減ったりすることはよくあることだが、本作の場合はその変更点が物語の根幹にまで及んでいて、ストーリーがねじ曲がっている。
10年前の殺人事件の結末や、その時のみーくんの母親(義母なのか、実母なのかは不明)のセリフ、上社奈月の立ち位置と何故か加えられた関西弁。
そして、今回の連続通り魔殺人の結末と'みーくん'の逮捕。
極めつけは、「まーちゃん」というワードの重要性を制作者側はわかっていない。
原作版は、重たい過去をみーくんの軽快すぎる語り口と、まーちゃんのエグいまでに現実離れした性格。
そこに比較的現実よりの坂下先生、なんでもお見通しのような上社奈月が絡んで進むはずの物語が、主要登場人物の性格が著しく変化しているばかりに、説得力がなくなってしまった。
言うべきセリフ、必要な行動、見せるべき真実が圧倒的に不足している。
逆に、言わせてはいけないセリフ、不要な演出がやたらと目につくし、ネタバレのタイミングが殺人的に悪い。
本来はもっとエグく、時には笑い、しかし全編を通して心躍り惹き付けられるストーリーが、あまりに稚拙で無様な脚本のために目を背けたくなる。
繊細で色々と暗く魅力的な内容が、大味で退屈なエセエンタメラブストーリーになってしまった。
みーくんが多用する「嘘だけど」というセリフ。
この映画自体が「嘘だけど」と言ってほしい。