劇場公開日 2011年3月26日

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「ブラジルのティーンは想像以上にセンシティブ」名前のない少年、脚のない少女 ikuradonさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5ブラジルのティーンは想像以上にセンシティブ

2010年10月12日
PCから投稿

ブラジルの若者を扱った映画というと、「シティ・オブ・ゴッド」などカゲキでワイルドな映画を思い浮かべがちだ。
だけど、実際はどうなんだろう?

この映画を見る限り、ブラジルのティーンも日本のティーンと大差なさそうだ。
とりたて大きな理由もないけど行き場のない思いをして、昼夜ネットの世界に没頭している。
自由度の低いテレビなんてもう時代遅れなのだ。
ネットの中で自分に都合の良いアイデンティティーを作り出して、血を流すことなく争ってみたり、無機質な電磁波になぐさめられてみたりする。
ある意味、このトレンドは全世界共通なのだ。
いまだネット社会に対しては否定的な意見が多いけれど、誰もがその恩恵を受け、そこに居場所を確保しているじゃないか。
この映画はそれを大前提に進む。

状況を説明してくれる台詞はほんとんどなく、詩情豊かな描写の連続で物語が運ばれる。
つまり知らない言語による音楽を聞いているようなもので、集中しないと簡単に置いてけぼりを食らう。
不親切といえば不親切だが、不親切くらいがこの映画の雰囲気には合っているのかもしれない。

ikuradon