「愛と憎しみ…見応え充分」八日目の蝉 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
愛と憎しみ…見応え充分
昨年の「告白」「悪人」など、一筋縄ではいかないドラマに見応えあるものが多いが、本作もまさにそう。
愛人の赤子をさらった誘拐犯と、その誘拐犯に育てられた少女。
普通に考えれば、誘拐犯・ 希和子の罪は重い。家族から全てを奪ったからだ。
しかし、薫=恵理菜を育てる愛情は、母親そのものだ。
そんな希和子に育てられた恵理菜は、実の両親に対して愛情を示す事が出来ない。特に母親との確執は深い。
そして自分も妻子ある男性と関係を持つ。
成長するにつれ、希和子に対して憎しみを持つが、フリーの記者・千草と思い出の地を旅する中、愛してくれた記憶を思い出す。
簡単に善悪で割り切れず、親子の関係とは? 母の愛の深さとは?…観た人それぞれ感じ方があり、色々と考えさせられるものがあった。
永作博美、井上真央、小池栄子…女優たちは素晴らしいを通り越して、圧巻。
永作博美は間違いなく、年末の女優賞を制するだろうし、井上真央も従来のイメージから脱皮し、本格的な女優としての姿を見せてくれる。そして小池栄子の演技の器用さ。
その他出演者も印象に残る(特に森口瑶子)。
成島出も「孤高のメス」に続いて誠実な演出で、好感。
感動やメッセージ性など、見応え充分で、GWというより、今年見逃せない一本になるのは間違いなし!
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