劇場公開日 2011年4月29日

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「【”八日目の蝉にしか見れない、美しきモノ”そして”様々な家族の姿” 】」八日目の蝉 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5【”八日目の蝉にしか見れない、美しきモノ”そして”様々な家族の姿” 】

2021年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、VOD

悲しい

知的

幸せ

■久方ぶりに鑑賞した感想
<Caution! 内容に触れています。>

・恵里菜(成長期:井上真央)の生後の時代と、彼女が大学生になった10数年後の時代を交互に映し出しながら物語は進むが、鑑賞していて全く違和感がない。
監督の手腕なのか、脚本のレベルの高さなのか・・。
この二つの時代を生きる幼き無垢な恵里菜の姿と、心に傷を負って虚無的に生きる恵里菜を演じる井上真央の姿が心に残る。

・不倫相手(田中哲司)の幼子、恵里菜を衝動的に誘拐し、4年もの間”母”として暮らした野々宮希和子(永作博美)の行為は、当然許されるべきモノではないが、鑑賞側は、ヒステリックな実の母(森口瑤子)よりも、和子に寄り添った気持ちで彼女の逃亡劇を観てしまう・・。
それは、希和子にも勿論責任はあるのだが、不倫相手の子を身籠った際に、説得され堕胎し、子を産めなくなってしまった身体に”させられた”ことが起因していると思われる。

・大学生になった恵里菜が虚無的に生き、希和子と同じように責任感のない男(劇団ひとり)の子を宿すシーン。
”負の連鎖か・・”と思ってしまうが、これが、最後に感動的なシーンとなる切っ掛けになるとは・・。
作品構成の妙であろう。

・押し掛けジャーナリスト千草(小池栄子:当時は現在の様な凄い役者さんになるとは思わなかったが、再見するとその片鱗は十分に伺える。)の存在。
過去の恵里菜との関係性が隠されていたとは・・。
そして、現代の恵里菜を小豆島に誘った切っ掛けになったとは・・。
彼女の描き方も又、作品構成の妙であろう。

◆過去パートの素晴らしさ
・希和子が、恵里菜と共に逃亡する中、
”事情があって、女性達だけで子を育てる「理想と共生の家、エンジェルホーム」”
に身を寄せ、女性達と生活するシーン。
男としては、存在を全否定されたような気分になるが、逆に観れば女性の逞しさを表現したのだろうか・・。

・「エンジェルホーム」を離れ、一緒に暮らしていた女性の故郷である、小豆島を訪れる希和子と恵里菜。
ー 現代の恵里菜は、幼き時の事を覚えていないが、確かに彼女は小豆島で”母”と楽しき時を過ごしていたのである。小豆島の美しき風景や民族と併せて、印象的なシーンの数々である。ー

・希和子と恵里菜が島の写真館で二人で写真を撮るシーン。写真館を営む主人を演じる田中泯が素晴しい。
そして、成長した恵里菜が写真館を訪れるシーン。
少し老いた、写真館を営む主人が、恵里菜に
”顔を見せて・・”と言い彼女の顔を凝視し、希和子と恵里菜のネガを探し出し、暗室で溶液の中から浮かび上がって来た、希和子と幼き恵里菜が長椅子に座っている姿。
ー 今作の白眉のシーンである。ー

<過酷な運命を辿りながら、成長した恵里菜が口にした言葉。
”パパもママも・・、皆好きだったんだよ・・。””この子を産んで幸せな経験を沢山させるよ・・”
 重厚で、心に沁みる映画である。
 キャストの方々も素晴らしい。>

NOBU
ジョニーデブさんのコメント
2021年7月8日

映画はいろいろな見方がある・・・おっしゃる通りですね。私が高評価している映画を低評価しているレビューに対しても、そのような見方もあるのだと思って、「いいね」を押す場合が結構あります。

ジョニーデブ
ジョニーデブさんのコメント
2021年7月8日

コメントありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。私のレビューは映画全体よりも、気に入った女優とか、音楽とか、特定のワンシーンとか、ピンポイントで感想を述べることが多いです。悪しからずご了承ください。

ジョニーデブ
レモンブルーさんのコメント
2021年5月10日

この映画はかなり前に観たなのですが…今でも 邦画の中では一番 印象深く、邦画の名作は?と聞かれたら、まず頭に浮かぶ映画です。NOBUさんのレビューで、また 観たような気分になりました!本当にラストの写真館のシーンは素晴らしいですね。田中泯さん!存在感が 大好きです!どんな短いシーンでも…演じる人物の背景や奥行きを感じさせますね!私は この映画の小池さんの演技に スゴい女優だと初めて気付きました!そして…5年ほど前にまた観た時、希和子を捕まえる警察官が吉田羊さんだったのに 驚きました!

レモンブルー