戦火の中へのレビュー・感想・評価
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【”母さん、何故戦争をするのですか・・。”朝鮮戦争時、圧倒的不利な韓国軍がにわかで結成した学徒兵軍と北朝鮮精鋭部隊との戦いを描く。同一民族同士で戦う悲しさが響く作品でもある。】
■1950年8月。ソウルを失い劣勢となった韓国軍は、最後の砦たる洛東江の戦線を守り抜くために全兵力を投入しようとしていた。
それに伴い、軍司令部が設置されている浦項の守護は、戦闘経験がほとんどない71人の学徒兵に託されることになる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・圧倒的に劣勢な中、急遽韓国軍は銃の打ち方もロクに分からない学徒兵たちを集め、浦項の守護を任される。
ー 急遽、学徒兵たちを率いる事になった、真面目なオ・ジャンボム(チェ・スンヒョン)や、不良だったク・ガプチョ(クォン・サンウ)が最初は対立しつつ、苛烈な状況下絆を深めて行く過程。
そして、北朝鮮の精鋭部隊を率いるパク・ムラン大隊長(チャ・スンウォン)が、彼らが立てこもる学校に乗り込む中、次々に銃弾に斃れる学徒兵や、北朝鮮軍兵士たち。-
<パク・ムラン大隊長が、学校の屋上に立てこもるオ・ジャンボムとク・ガプチョに言った言葉。
”同志たちは韓国に生まれ、俺は北朝鮮に生まれた。それだけだ。”
パク・ムラン大隊長は立てこもる学徒兵に対し、”君らは、将来の朝鮮を担う人材だ。”と言って寛容な態度を取っていたが、学徒兵たちの予想以上の抵抗に会い、ク・ガプチョとオ・ジャンボムを撃ち殺す。
だが、彼も助けに来たカン・ソクテ(キム・スンウ)に撃ち殺されるのである。
<今作は、実話ベースの物語であるが何とも切ない作品である。同一民族同士が殺し合う姿が哀し過ぎる作品でもある。>
無慈悲な数字を、思う
「私の頭の中の消しゴム」で知られるイ・ジェハン監督が、韓国トップアイドルグループBIGBANGのT.O.P、クォン・サンウを迎えて描く、史実の基づいた戦争ドラマ。
「数字で語られる命に、慣れてはいけない」ある記者が、某震災の記事を論じる際に語っていた。死者が1万人。この6文字には、その裏で呆然と立ち尽くし、泣き叫び、大切な誰かの喪失を思う何倍もの人間がいるという事実が、見えてこない。無感情な数字に、慣れるな。常に、一人の人間の悲痛な心を思え、と。
本作を観ると、その一言が鋭く、重く、私の心に突き刺さる。この物語が迫ろうとしているのは、71人という数字で語られた少年兵の勇姿ではない。個々の少年達が極限の恐怖、絶望の中で見つけた「自我」と「輝き」だ。
壮絶な戦闘シーンに対して、残された数日間に描かれる少年兵たちの笑顔と葛藤を、より濃密に見つめていく視点が印象的である。韓国の軍記ものには必須ともいえる「どれだけリアルに、どれだけ激しく祖国愛を描くか」という爆発的なエネルギーはそのままに、2人の少年と、北の親玉との決戦という軸を持ち込んだ人間ドラマ重視の構成に、新鮮な意欲を感じさせる。
71人の心、素顔を全て描き切ることは当然無理だ。むしろ、物語が散漫になる危険性をはらむ。ベテランの監督はそのリスクを重々理解し、数人の少年兵の個性を際立たせて、無駄のない展開に仕上げている。この職人芸をもって、無慈悲な数字の裏側を思い、覗き込み、表面からは見えにくい悲哀を掬い上げることに成功している。
単なるアイドル映画の枠を超え、誠実に1人の人間の涙と希望、生きる意味を問いただす重厚な作品となった本作。物語に目を逸らさずに向き合い、どこかの街で数字となって命果てた誰かを静かに思うのも、悪くない。
オモニ。
今作を観て、ますます思った。
そもそも戦争に正義など存在しない。
愛国心と忠誠心のみで構築された戦闘体制に、心ごと、
あるいは身体ごと飲まれ、意志まで侵される人間たち。
戦わざるを得ない状況下で、一縷の希望にかける彼らの
意気込みはいかばかりか、しかし今作で命を散らすのは
まだ年端もいかない71名の学徒兵たちである。
あらすじを聞いて、これは…と思ったが、さすがに泣けた。
原案となった実話は、この戦いで命を失ったある中学生の、
…もちろん届かなかった、母親に宛てた手紙だったそうだ。
冒頭でこの戦争のいきさつと、なぜ学徒兵が組織されたかの
大まかな説明、彼らが従軍トラックで町(村)を出発するシーン
が時折、何度も挿入される。ここに映る母親と息子の別れは、
後半のクライマックスで手紙と回想のかたちでサラリと流れる。
爆撃や銃撃、大砲など銃器を使った大掛かりな戦争シーンは
冒頭からラストまでものすごい勢いがあるが、観るに堪えない
ようなグロさはない。かなり劣勢の韓国軍が、勢いづく北朝鮮
軍の侵攻を食い止めるため、全兵力を洛東江へ集中させた
最中に起こった、浦項中学校での766部隊と学徒兵との戦い。
結果は…歴史の史実通りとなるが、今作のラストで、なんとか
ここで生き残った二名の元・学徒兵のインタビューが流れる。
これは絶対に、聞いておいてもらいたい。映画と実話、実際に
どのような状況下で彼らが戦ったのか酷明に語られている。
どこまでが実話として描かれたのかは不明だが、
今作では敵軍の少佐(すごく怖い)の人物像も丁寧に描きだす。
冷酷非道と思われたこの男の、学徒兵にとった態度にはむしろ
敬意を祓いたくもなる。殺し合いが本望ではない。かつては
同じ国の人民であったはずなのに、北か、南かで、その運命を
狂わされた一人の人間の叫びともとれる。もちろん学徒兵にも
降伏を受け入れ家に帰りたいと思った者もいたはずだ。すでに
結末が見えている戦いに血を流す必要はないと今なら思える。
だがリーダーのジャンボム(T.O.P)が出した結論とは。。
主役を演じたのがアイドルグループBIGBANGのT.O.Pなのだが、
(コレ名前なのね? チェ・スンヒョンとも書いてある)
なんともキレイな瞳をしている。すっかりオバサンはヤラれた^^;
演技面ではあまり台詞がないため…巧いかどうかは謎が多いが、
とにかく存在感は十二分にある。他に比べてずいぶん幼いが(爆)
何しろクォン・サンウが最年長の不良ときてる、その他の兵士も
わりと皆オジサンに見える人が多い。。まぁキャラ的には問題が
ないので、いいんだけど。このあたりはかなり脚色された感あり。
こういう作品は(日本映画でももちろん)、多くの若い戦後世代に
何度でも何年でも観てもらって、語り継がれなければいけない。
なぜ命を粗末にしてはいけないか、なぜ人を殺してはいけないか、
なぜ長生きしなければいけないか、なぜ平和である必要があるか。
説教くさい作品を観て、ちゃんと説教のできる人間にならなければ。
肝に銘じたくなる作品。
(韓国は母親を本当に大切にするのね。死に際に言うことも同じ…)
砲火の中へ
昨年6月16日韓国初公開日にサンウの応援と舞台挨拶が見たくてソウルに行きました。サンウの熱演に字幕もないのに泣きました感動で思わず手を叩いてしまうほど興奮しました。その映画が2月19日から沢山の映画館で上映されます。嬉しくて前売り券も5枚買っています。少なくても5回は観たいです。戦争のむなしさ、沢山の若い命が奪われどんな思いだっただろうか・・・・今の幸せに感謝の心を刻み込めた感動の映画です。沢山の方に観て欲しい映画です。嬉しいことに神戸にも二ケ所の映画館で上映が決まっています
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