ブラック・スワンのレビュー・感想・評価
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自分自身と戦う過酷さ
かなりご無沙汰なレビューになってしまいました; やーっとがっつり観れました!やっぱり映画がないと♪
せっかくの久しぶり(?w)なので満を持して前々から観たかった『ブラック・スワン』をセレクトしてみたところ…すっかり空っぽになっていた映画HPをしっかり満たしてくれました。
期待を超えたかというとそうではないんだけれど、その鬼気迫る“本物感”はスタンディングオベーションもの。
ただそれらも似た部分の多い(と私は感じた)『ダンサー・イン・ザ・ダーク』より一枚落ちるかな?ということで3.5点。
何かを成し遂げるということ。
真剣に取り組めば取り組むほど、自分にとってそれが大きければ大きいほど、プレッシャーがついて回る。
ライバルの存在だとか期待に答えなきゃとかそういうのも結局は自分自身との厳しい戦いで、自分で踏ん張り自分で乗り越えるしかない。
何をやるにしても“自分”の体と頭しかないんだから自分の中からそれらを生み出さなきゃいけない。自分の中に引き出しを作り、成熟させ、解放しないと行きたい場所に到達できない。
ニナは黒鳥に、それと同じようにきっとナタリーはニナという役に、そしてみんなが何かに、それぞれ自分という人間の限界や可能性と葛藤する。
何事も美しくて華やかな“出来上がり”には陰での心身の健康のための孤独で人知れない物語がある。
強さと弱さのバランスは脆くて、諦めるのも堕ちていくのも簡単で誘惑も言い訳もたくさん用意されてる中、“頂点”はなんとかもがききった人だけが見れる景色。
もう“もがいてる”とも言えないほどニナはボロボロでギリギリの状態だったけど、もう何がなんだかわからなくなったって最後に残るのはやっぱり“想い”の強さ。
自分自身に真っ向勝負で勝ったとは言えないかもしれないけど、何物にも代え難い物を得ることができた彼女が最期に見せる表情はとっても感慨深くて生き方について考えさせられました。
バレリーナって最も美しい体躯を持つ人たちだと思うので、体づくりだけでも一筋縄じゃないかないような映画をナタリーは女優として終始表情で魅せてくれていました。脇も素晴らしかったです。
音楽や証明も素晴らしい。渾身の“ブラック・スワン”のだんだん羽が生える演出すごく良かったです。あとED最初の方の背景も本編の余韻がいい感じに残って最高でした。
あーバレエ観に行きたいっ
芸術とは
切ないお話しでしたね・・まじめに取り組んでいればいる程、ノイローゼになりやすいんでしょうね。トップに立つというのは大変なことなんだな・・プレッシャーに押し潰されますね。
バレエ界厳しそうだもの・・
本当の自分とは何なのか?
結論から言えば、ナタリー・ポートマンあってこその作品だと思います。
これほど、終始緊張感を感じる作品も久しぶりだったかもしれません。
クラシックバレエの『白鳥の湖』は、王子と恋に落ちる純真な白鳥と、それを奪おうとする黒鳥を同じダンサーが演じることが慣習になってるそうです。
この映画は、それをテーマとして”白鳥の女王”に抜擢されたダンサーを描いています。
しかし、本質的にはバレエ自体に主体を置いた作品ではないのでしょう。
つまり、女性の中に潜む白鳥と黒鳥の心が真のテーマとなっています。
元々バレエのシナリオにはそういう意図が含まれているのかもしれませんが。
弱々しく繊細で臆病な白鳥は、完璧な美しさを持った高貴な女性をイメージさせます。
それは、あらゆる抑制と、その中でもがき続けるからこその美しさとも言えます。
しかし、ふてぶてしく情熱的な黒鳥は、白鳥から王子を奪ってしまうのです。
感情を解き放ち、自信に満ちた姿は、人間を魅了し続ける欲望そのものかもしれません。
この映画では、”もし、白鳥が抑制を解き放って、黒鳥と王子を奪い合えばどうなっただろう?”という疑問をなげかけているような気がします。
結末は、観る人の感じ方次第だと思いますが、少なくとも一つの結論を出した、と言えます。
もし、この映画の女優が月並みな人なら、退屈な時間を過ごしたかもしれません。
音楽も、映像も良いのですが、それは部分的なことだと思います。
ちなみに、僕は正午ごろの上映で観てきましたが、何か食べながら気軽に観れるような作品ではないでしょうね。
特に、隣席の人が知らない女性だと結構気まずいと思います。実際そうでしたから(笑)
作品賞
とても楽しみにしていた映画。
満足できるし、ナタリー・ポートマンの演技も凄い。
一部、代役を立てたみたいだが、
それでも主演女優賞に値する演技だと思う。
内容はホラーなのか、明るい映画ではない。
黒鳥の迫力が凄い。
日本のアニメ「パーフェクトブルー」パクリ疑惑があるので、
その作品が気になる。
この映画に行きすぎたセクシャルシーンは必要か?
ナタリーポートマンの演技が素晴らしいですね。
狂気をエロスと痛みで表現しすぎていると感じました。
母親と大舞台の主演獲得というプレッシャーにより精神を病んでいく主人公を丁寧に描いていると思います。ただ…必要以上にセクシャルなシーンが多いように感じました。
とはいいっても、レディースコミック程度のモノなのですが、何度もその手のシーンに入れる必要があったのでしょうか?
同じように痛々しいシーンも多かったように思います。
もう少し痛いシーンとセクシャルシーンを抑えていたなら、もっと滑らかに物語を楽しめたように思います。
でもエンディングにかけての盛り上がりは圧巻です。
まるでスパイダーマンのベノムのようなブラックスワンへの変貌シーンは感動しました。
何だかんだ言って、観てよかったと思っています。
暑いこの季節はこれで、震え上がって寒くなる最高の娯楽映画
久しぶりに、「映画らしい映画を観た!」これが、観終わっての第一声!・
映画を見ている最中は怖い!!怖い!!の連続。何が怖いって?人が恐怖心に潰されそうな程に不安を抱く時、そう誰でも経験有るよね?その不安が、夢か、現実か?何処が本当で、何処からが、幻覚の世界なのかナタリー・ポートマン扮するニナは自分自身でも、その境界線の見極めが利かなくなり、徐々に精神のバランスを壊してしまうその変化を観客は堪能出来るのが、この映画の見どころ。ポートマンの演技がみものよ。白鳥のキャラと黒鳥のキャラの両極の烈しいキャラを踊るヒロインは、役にのめり込むが、その彼女の先に待ち受けているものは?
この映画を見る我々もヒロインと同じ恐怖をなぞる事が出来るのは何と怖くて幸せな事だろう!芸術家は何故此処まで自分を追い詰めなくてはならないのか?きっとその苦悩があればこそ、観客は、そのバレエや、映画芸術と言うものに心酔する事が出来るのだろうね。才能の無い、凡人である大方の観客の心をとらえるのは白を極める、そして白い世界ばかりでなく黒の世界も極めると、人間の善とエゴを突き抜けて行くその先には、完成された人物像が浮かび上がり、人を感動させる芸術の醍醐味の世界が披けてくるのだろう。特に我々日本人はファジーな性格が強い分、白と黒の世界の中間に位置する為、それ故に両極の善なる白の世界とエゴと言う人間の欲望の世界を目の当たりに突き付けられた時に、ハ
ッと息を?むような自分の心の奥底を見破られた気持ちになり、感動を覚えるのであろう。これは映画は、古くは『白い恐怖』や『殺しのドレス』を上回る超一級の最新のサイコスリラーとして、映画史にもきっとその名を残す作品であろう作品です!!
是非あなたもこの娯楽作品を堪能してみたら!!暑い夏が、涼しくなるよ!!!
お見事
自分を『高める存在』とするか、あるいは『目の敵』にするか、ライバルをどう捉えるかで心の負担はだいぶ違う。本作は、ライバルを両者のどちらでもない『脅威』として捉えた主人公の成長と葛藤を描く。
ニナにとってのライバルはリリーや過保護の母親、バレエのコーチなどの人物だけではない。彼女の役柄である『黒鳥』という名の重圧でもあるのだ。それらによって心が蝕まれていく様子を、アロノフスキー監督は地味ながら卓越した描写で表現する。
その描写が大変居心地が悪いもので、深爪したり足の指がくっついてしまったりと、彼女がどれだけ追いつめられているかが分かる的確な演出だ。
ヴァンサン・カッセル演じるバレエのコーチ、ルロイは「自分を解き放て」「愉しみを知れ」とニナに指導しているが、言うまでもなくこれはニナ自身の殻を破らせ、同時に『黒鳥』の表現力を身につけさせる意図がある。
この部分は痛々しい描写とは反対に官能的かつ反抗的に描かれる。今まで親の言いなりになってきたニナが初めて反抗する場面は、彼女の1人の大人としての成長の証であり、ポートマン自身の演技の上達を示唆するものである(もちろんこの場面に限ったことではない)。
ニナ自身の内面の話は長くなるので程々にしておくが、肝心のバレエシーンはどうか。
こちらも言うに及ばず素晴らしい出来である。ここではポートマンのバレエ演技に付随する演出についてのみ言わせてもらおう。バストショットを多用し、編集や音楽でポートマンのバレエ技術の未熟さをカバーした。映画を作る上では当然するべき演出だが、個人的には製作側の映画作りに対する情熱が伝わってきて、嬉しい限りである。
わがままを言えばもっと彼女のバレエシーンを見たかった気もするが、これ以上文句は言うまい。いやはや、バレエとスリラーを見事に融合してみせた素晴らしい映画である。こういう見応えある映画ばかりが出てきたらもっといい。……そういうわけにはいかないか。
なるほど、熱演
今まで、自分はジャンルなどでの映画の好き嫌いは無いと思っていた。
しかし、本作を見て、自分が受け入れない作品があることを気づかされた。おそらく二度は見ないが忘れられない一本に出会った。
主人公は主役獲得を夢見て練習に励むバレリーナ。長らく君臨してきたスターに代わる新星としてスワンプリンセスに抜擢される。念願叶った喜び…しかし徐々に周囲に異変が起こっていく、というストーリー。
なんといってもナタリー・ポートマンがハマっている!個人的に「綺麗なだけ」と思っていた彼女(あくまで私個人の感覚)に、感情表現が苦手なバレリーナ役を充てるとは、ナイスキャスティング。
中盤まではいつものナタリーだが、ある瞬間に垣間見せた感情のインパクト!以降の演技にはひたすら感嘆するばかり。エンディングに至るまで、圧倒され続けだった。
減点理由はカメラワーク。バレエシーンはナタリーの上半身アップか誰か足役のトゥのアップのみ。理由は予測出来るが、最初からずっと同じでは飽きも来る。
あと、全く興奮できないエロシーンもいただけない。あんなののためにR15になるなんて無駄も良いところ。確かにナタリーは頑張っていたが、男としての私は無反応だった。
以下ネタバレに
見終わって最初に感じたのは「やられた〜」の一言。
あの一つだけが現実なんて考えもしなかった。最後には良い結末が来ると勝手に信じて居た。
今まで、悲惨な終わり方のスプラッタでも受け入れてきたが、本作ほどネガティブに支配された映画を私は知らない。
正直話を追うのが辛かった。僅かでも希望の要素がある映画でなければ、私はダメであることを学ばせて貰った…
ミステリーとは言えない
テンポのよさは素晴らしい。
ナタリー・ポートマンの美しさと、バレエ団内での熾烈な競争、
恐怖感を募らせる出来事の連続で飽きさせない。
コーチによるセクハラ、ライバルによる遊び、レズへの誘惑など、
エロティックな味付けもリズムも生んでいる。
しかし、映画の前宣伝で言われていたミステリーの要素はない。
主人公が極度の緊張感から、精神疾患によって自傷行為に走っただけだ。
無責任な前宣伝で、鑑賞後は失望感が漂った。
白鳥だけでなく黒鳥も演じられるようになり、
主人公が「完璧」になるために必要なのは、単に男性経験だけだったのか?
疑問が残った。
ブラックスワン・・非現実の舞台設定
予告編と後輩の推薦で見に行きましたが、舞台を作る現場としては、ツッコミどころが満載でした。
まず、ソリストに抜擢される人は、ある程度社交性もあり、そういう人がソリストで華があるのです。選出された動機がはっきり見えてこない。
練習風景にも問題あり、大きな施設は勝手に電源を落としたりはしません。
ソリストになる人には人間的にも成熟している人が選ばれます。いくら母親と二人きりとはいえ、芸術でソリストの部屋が人形やぬいぐるみで埋め尽くされているのは、アーティストとしての成熟度にとても不信感があります。
そして、本番にむかう過程にも大いに疑問が。
前日に一人にリハーサルに残るソリストのニナ、この場合は時間を区切って奏者にもお願いするので、途中で疲れたと主役ソリストを切り捨てるように勝手に帰る伴走者なんて、信じられません。
それから、一番の問題点は本番のやりとり。
本人自身から初日を休むという確認を現場が取らずにアンダーを用意、ありえへん。
あの楽屋が一番のなぞ、ソリストなのに、メイクと衣装担当が入れ替わり立ち替わりソリストの世話をするのが本当のはず、一人きりになる空間ではないので、実際では妄想なんかしているひまはないはずです。
自分でメイクと衣装の着用、ありえません。。。。
プロがいてるはず・・・
そして、最後の飛び降りるシーンもプリマが落ちるんだから両側にサポーターがいるのが当然。安全管理がなさすぎ。
現場をつくる方からみたら、ソリストが回りの状況を把握できず、舞台に立つなぞありえない。より一層、強気で冷静で作品に集中しなければんらにのが、ソリストです。
だから、そういう意味ではだいぶファンタジーで、ちょっとがっかりでした。
同じ見るなら「英国王のスピーチ」の方がよかったです。
ちょっと残念な映画でした。
密度が濃い・・
「ブラックスワン」観てきました。噂に違わず密度の高い映画でした。リアリティのあるバレエ表現と胸が苦しくなるようなストーリー展開、要所にちりばめられたカルトチックな要素などなど、だからと言ってキワモノ的な感じはあまりなく、CGも必要最小限で全般的には極めて真面目に作られた映画だと思います。
ただ、ネックとしては官能への開眼によって自由奔放な黒鳥へ目覚めて行くところなど、すでに過去にエロスティックコミックなどで描かれていることの二番煎じでもあり、(以下ネタバレ・注)主人公が最後に達成したと言う「完璧なバレエ」にも今ひとつ説得力が感じられませんでした。細部も雑な部分が結構あり、あとは観客の想像力におまかせします的な丸投感も少々あったのが残念です。
このためかどうかは分かりませんがオスカーの作品賞や脚本賞はじめ数々のアワードにノミネートされていたのに主演女優賞以外はいずれも逃してしまったのはやはり審査員の慧眼なのかと思います。
しかしこの映画はストーリーそのものよりも実際のバレエというものがいかに過酷なものであるか、そしてその頂点をめざすものはどれだけ多くの犠牲を払わなければならないのかを知るためのものなのかもしれません。そして実際にはバレエ素人であるナタリー・ポートマンが努力の積み重ねによってここまでこの映画にリアリティをもたらしたのはまさに驚異と言えるでしょう。初のオスカー受賞も当然の結果でした。一見の価値のある映画だと思います。
素晴らしい絶望に満ちたラスト
「π」「レクイエム・フォー・ドリーム」「レスラー」など独創性の強い作品を発表してきて「ザ・ファイター」では制作もこなしちゃうダーレン・アロノフスキー監督の最新作。「レスラー」では「ナインハーフ」以降浮き沈みの激しかったミッキー・ロークをゴールデングローブ主演男優賞とアカデミー賞ノミネートで見事復活させたアロノフスキー監督が今作のミューズに選んだのがナタリー・ポートマン。「レオン」で鮮烈なデビューを飾り、以後様々な話題作や意欲作に出演し監督業にも進出している順風満帆な女優ですが、そんな彼女が今まで獲得したくても出来なかったのがアカデミー賞主演女優賞。俳優のポテンシャルを引き出すのが上手い監督と生真面目で賞の欲しい女優がタッグを組めば映画好きならケミストリーが起こる事を期待してしまいます。しかも二人ともハーバード大卒。でも「ソーシャル・ネットワーク」みたいな会話被せにはなっていないのでご心配なくw。元々「レスラー」と「ブラックスワン」は一つの企画で進んでした事から姉妹編と呼ばれており、上映時間が長くなり過ぎるという事で別々の作品として撮ったという経緯がありました。監督曰く、「ある者はレスリングは最低の芸術と言い、またある者はバレエを最高の芸術呼ぶ。しかし、私にとって驚くべきことは、これらの世界両方のパフォーマーがいかに似通っているかである。どちらでも、パフォーマー自身の身体を信じられないほど使って何かを表現している」と語っています。落ちぶれ感のあったミッキー・ロークと優等生から脱却できないナタリー・ポートマン。その二人とそれぞれの主人公を重ねられずいはいられません。まさにベストキャスティング。
NYでバレリーナとして日々鍛錬を積んできたナタリー扮するニナが白鳥の湖のヒロインに抜擢されてから本公演までの苦悩と悪夢を描いた本作。現実と悪夢との境目を描く事に定評のある監督らしく、ニナも同様に現実なのか幻覚なのかが段々分からなくなり追い詰められていく過程を密着して観ている錯覚に陥ります。ただニナは元々精神的に弱いらしくヒロインに抜擢される前から幻覚や身に覚えの無い傷があったりして、抜擢後はますますひどくなっていきます。単にちょっと精神的に弱いだけの子やん!っていうつっこみが冒頭から入れられそうですが終盤に向けての畳み掛けが物凄いので全く気にならなくなります。ヴァンサン・カッセル扮する芸術監督の女好きで簡単に裏切られそう感やミラ・クニス扮する自由奔放な新人ダンサーからの振り回され感等、登場人物を最小限に抑えて一人一人を濃密に描いている点は複雑になりがちなプロットを上手く際立たせる事に成功しています。未見の方は番宣でほとんど触れられていないので知らない方も多いと思いますが劇団の元花形ダンサー役でウィノナ・ライダーが出ています。チョイ役ですが重要な役どころなので知らないで観るとちょっとびっくりします。私生活同様すさんでいる感じがバシバシ出ているのでw。
新人ダンサーに誘われクラブへ行く辺りから本公演の本番までが特に現実と悪夢的幻覚が入り乱れ、観ている側にもどこまでが現実かを混乱させたまま突き進んでいき終盤はスリラーというよりホラーです。下手なホラー映画よりもかなり怖いのでナタリーが出ているオシャレなダンサー映画だと思って観た方はトラウマになるかも。いやなるな。本番で白鳥から黒鳥へと変化する際に冒頭からあった背中の傷という伏線が黒鳥の羽根が生えてくる過程だったという点や新人ダンサーに挑発されて刺してしまうが実は自分自身を刺していたという点は、今まで優等生で我慢を強いてきた自身の心と身体の解放を表しており今までの幻覚が真の悪夢へと昇華される非常に説得力と見ごたえのあるシークエンスとなっています。黒鳥を踊り切った後に死が迫り視界が明るくなるラストはニナ自身が心の奥底で望んでいた最後であり、この映画にはこのラストしか考えられないという素晴らしく絶望に満ちた終わり方でした。
ただ普段の生活では馴染みの薄いバレエを題材にしているのでこの世界観を今一つ掴みにくい所が難点です。なので、あまりバレエに馴染みの無い方にお薦めなのが天才女性バレエダンサーの成長を描いた漫画「昴」と続編「MOON」です。これを読めばバレエの世界観は完璧に掴めます。間違っても黒木メイサ主演の映画「昴~スバル~」ではないので間違えないように!映画は観る価値0点映画なので・・。
という事で、あまりバレエの知識の無い方は漫画「昴」「MOON」を全巻読んでから気分的にはちょっと落ち込み気味の時に映画館で見て壮絶な彼女に比べたら自分はまだマシだと前向きになりたい時にオススメです!
ブラックスワン
才能のある人はトップを仕切れる。努力家は所詮努力家。限界があるのだ。努力家がトップになると、その分地位を守るのは厳しい。シビアな映画。きついけど、感動を抉る映画で、好きよ。
引き込まれました
オスカー女優になったナタリーの演技がやっぱり良かった
バレリーナとしてまったく違和感がなかった
バレェをやってる人の目にナタリーの踊りはどう映ったのか、少し気になった
プリマの孤独感と重圧
壊れていく心
現実とも妄想ともとれるラストシーン
引き込まれ、集中して観れる映画でした
黒鳥を踊ることは大変なことだよ
映画「ブラック・スワン」(ダーレン・アロノフスキー監督)から。
バレエと言えば「白鳥の湖」(たぶん、それしか知らない(汗))
主役である純真な「白鳥」が、邪悪で官能的な「黒鳥」に変身。
その2役を見事に演じきった主人公には、素直に拍手を送りたい。
同一人物が、そのニ面性を両方、表に出すところに、
この作品の面白さ、凄さがある気がしている。
しかし、自分の生活に置き換えてみると、
「善・悪」両方を使い分けて生きる必要性は、あまり感じない。
勿論「寛にして律」(寛大だけれど、怖れられる人物)のように
相反することを備えている人物には憧れるが、それとはちょっと違う。
誰もが持っているニ面性を、どのようなバランスで表に出して、
自分という人間を作り上げていくか、が大切であるといつも思っている。
さて、選んだ一言は「黒鳥を踊ることは大変なことだよ」。
これには、台詞には出てこないが「白鳥の心を持ったまま」という
気持ちが隠れていると思う。(だから、難しい)
どちらかに徹して良ければ、楽なんだろうけれど、そうはいかない。
この難役を乗り越え、彼女は誰もが認めるプリマドンナになった。
意外と重たい作品だったが、大満足である。
よい子の悲劇!
ナタリー・ポートマンがすごいという話だったので見に行きました。
確かに、ナタリーの鬼気迫る演技に圧倒されっぱなしでした。
鍛え上げ、削ぎすぎるほど削いだ肉体、躍動感、さすがです。
現実と幻覚(幻想・妄想)が入り交じる展開に、途中頭が混乱することもありました。
思い返せば、最初の劇場に向かうシーン。
ニナの背後からのアングル。ニナと一緒に歩きながら揺れる映像。
そこから鑑賞者はニナの視点に入っていったのですね。
ニナの視点から、現実と幻覚を交えながら、ストーリーが進められたのですね。ニナの視点ということを考えると、少し頂けないところもありましたが(第三者的な、やや客観的な視点)、自分の鑑賞しながらのあの混乱した状態は、正しい感覚なのでしょう。
最後はどうなるんだろう、すっきりした気分で劇場を出られるのだろうか…と心配していたら、やっぱり悲劇的な結末でした。
精神に異常を来したまま、終わってしまうのだろうかとも思いました。
ですが、一回ですが、輝けたことが唯一の救いでした。
「パーフェクト」ニナの人生はあのワンステージのためにあったんですね。
母の期待に、自分を抑圧してきた自分。よい子に、バレエに打ち込んできた自分。よい子の踊りを脱して、感情的に表現するには、監督が言うように「解き放つ」しかなかったのでしょう。
自分を解き放つのには、少々のドラッグ、セクシャルな感覚、そして抑圧してきた自分自身を殺すしか他にはなかったということでしょうか。
パーフェクト!!
1回目試写会で、2回目は初日に映画館のおっきいスクリーンで鑑賞!!
一度目はただただ圧倒されて観終わった感があったのですが・・・
二度目はじっくり世界観を味わえ、現実と妄想の区別も出来ました。
ニナの苦しみや目指すところ、押し潰されそうな程のプレッシャーをひしひしと感じ、アタシもすっかりブラック・スワンの世界にのめり込んでいました。
そして、プレッシャーを乗り越えたというか、破滅へと向かっていく「美」に感動しました。
涙が出たから感動というのでは無いのですが、一度目は泣かなかったのですが、二度目はラストで涙しました。
あの『パーフェクト』へのこだわり。執念。
けれども・・・黒鳥としてはパーフェクトだったのかもしれませんが、白鳥では最初リフトの所で落ちて失敗しているのですよねー。
だから、公演全体を通すと実はパーフェクトじゃ無いんですよね・・・。
けれども、一度目の鑑賞の時にそれを忘れてしまったし、実際観客もその失敗を忘れてしまうほど、その後はスゴい出来だったのですが~。
そして、オープニングの白鳥を踊っている夢を見ている所からの伏線は二度観て気づきました。
ロッドバルトの存在も。
ライバルリリーの背中の羽。演出家トマ。
ある意味二人はニナから見たらロッドバルトとオディールなんだーと。
こりは勝手なアタシの解釈です~。
それから「音」
この監督の作品では効果音的な「音」がとても耳に残ります。
場面場面でとても。
母娘関係について、母娘の間にあった抑圧と競争心の複雑さもより理解でき、母親の挫折を自分のせいにされていたという思いが、ずっと言いたくて言えなかったのに、「ママは群舞、アタシは主役」のような事を最後に言い放った時からの感情の遷移はすさまじかっです。
押さえていたものが溢れ出した感。
薬の使用については、それが解放になるという悪魔の囁きはちょっと安易かな~と。
やっぱり薬か~的な。
ちょい残念。
あと・・・えーと・・・一度目の時は黒鳥になったニナは白鳥には戻れないと思ったのですが・・・
ニナの妄想と現実は、黒鳥と白鳥の二面性で、どちらの要素も完璧に持っていた類まれなる才能の開花だったのですよね。
だから、もしもあそこで終わらなければ更なる高みに・・・と感じなおしました。
ただ、ニナの精神が打ち勝ってそれをコントロールできるか、保てるかは疑問ですが・・・。
ホントはも一回観たい。
でも、体力的にも精神的にもハードだからな~。
行けるかなー。
どちらかというと苦手
以前から言っているとおり、私はアカデミー賞で評価されるタイプの映画は、どちらかというと苦手なことが多いようです。
『ブラック・スワン』も、やっぱりそっち系な気がしました。でも、この映画の評判がいいのは、何となく理解できました。
レオナルド・ディカプリオ主演の『シャッターアイランド』という映画があったけど、精神が崩壊していく中で、何が事実なんだかわからない倒錯した世界を描くという点では、似ているのかなあ。それをバレエの世界で描いているので、ずいぶん雰囲気は違うかもしれないけど。
ハンディカメラを多様していて、歩いたり踊ったりしている人物を舐め回すようにカメラも動き回るので、見ていてちょっと疲れました。
ナタリー・ポートマンは、すごくよかったと思います。
崩れゆく魂はおぞましくも美しい
公開2週間足らずでレビュー総数40件近くって凄ッ。
いやー、こわいこわい、こわいこわい映画でしたね(淀川長治さん風に)。
小説・絵画等々、芸術と呼ばれるものを求める人間には
己をトコトン追い詰める破滅的な方も多いようだ。
本作の主人公ニナも然り。
幼い頃からバレエしか与えられなかった彼女は、
バレエダンサーとして成功するしか自分を
この世界に存在させる手段は無いと信じ込んでいる。
ニナが崩壊するに至った理由は様々だし、その引き金となったのは
奔放なリリーの出現だろうが、問題の根幹はやはり母親だと思う。
娘に己の夢を『代理』させる母親の、娘への執着たるや凄まじい。
娘の顔を描き殴り、小鳥のように飼い慣らし、
優しい笑みの直後に憎しみの言葉を口にする。
僕にはニナが『自分が生まれた事で母の夢を奪ってしまった』
という変な罪悪感(プレッシャー)を感じているように見えた。
それとニナが性的衝動を抑圧するのも、この母親自身が男性に対して
不信感を抱いてるからじゃないんかね。はっきり描かれてる訳じゃないけど。
あの母親にもう少し焦点を合わせたら更にオソロシイ映画になったのでは、
と勝手なことを言ってみる。
話題を変えます。
映画内で繰り返される裂傷のイメージ。
やけに耳を突く、皮や肉の裂ける音、服の擦れる音、骨の軋む音。
ひとつの肉体にふたつの相反する魂は入れない。
ニナの肉体が裂け、軋み、変形する様は彼女の『変身』とも取れるが、
入り切らなくなった魂が肉体を破り出ようとしているようにも見える。
——卵殻を破り生まれ出るイメージ。
思うに、何かが破裂・炸裂する様っていうのは美しいんですよ。
原子核が分裂する時に膨大な光熱を放つように、壊れるってことは同時に、
それが有している何らかのエネルギーを外にぶちまけるって事なのでは。
そして我々はそのエネルギーを受けて凄いとか美しいとか不快だとか
おぞましいとか自分なりの感情に変換してるんじゃないかしら。
圧力が強ければ強いほど、破裂の際のエネルギーも凄まじい訳で、
クライマックスのニナはいわば、
ぎゅうぎゅうに圧縮された魂を燃料に炸裂する花火だった。
そして彼女は白鳥と同様、死により自由を得る。
あそこで死ななくとも、いずれはあの“姫君”と同じに朽ち果てたろう。
物語の開幕から、彼女にはあの結末しか用意されていなかったのかもしれない。
<2011/5/14鑑賞>
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