「見ていて痛い」ブラック・スワン 葵須さんの映画レビュー(感想・評価)
見ていて痛い
クリックして本文を読む
なんの前情報もなく視聴した。パッケージや名前からそういう暗い向きの映画だとは予想できてはいたが、サイコスリラー映画だけあり、精神的幻惑によるホラー要素とそれに付随するニナの背中の一箇所にできる蕁麻疹の描写が幻惑と血の表現によりその視聴者へのインパクトが増強され、見ていて何度も平手打ちを受けるようだった。時折ニナに感情移入がすぎて、その痛々しい演出に舌打ちをしてしまう場面もあるほどだ。スプラッター映画のような安いグロテスク描写が無いのにR15+映画指定を受けているのは納得が行く。心が元気な時に見た方が良いだろう。自分は途中でつらくなって視聴を中断し、時間をおいて最後までみた。
1hr30min頃からそこまで引っ張ってきた展開が見ることができ、そこでやっと救われる思いがあった。それは痛みを伴うものでもあったが。その表現方法については原理主義者であればそのような演出は不要で、リアルな描写だけで表現すべきだったと思う方もいるかもしれないが、BGMや目、腕のアンリアルな描写については違和感はなく、それまでの不安や苦痛の描写に対するカタルシスを演出するにたる表現だったと思う。
そしてこの作品は物語の絶頂で終焉を迎える。自分が最近見た映画の仲ではロッキーと同じだ。その続きが非常に気になる。ニナが今回成功したのはその後を保証するものではなく、その後の悲劇が容易に想像できるからだ。
コメントする