「変化」ブラック・スワン Hitomiさんの映画レビュー(感想・評価)
変化
この映画を、大役のプレッシャーに押しつぶされて心を病んで暴走してしまった自傷癖の女の子の話、とでも表現する人がいるのなら、私はこの上なく幻滅する。
この映画の主題は、白鳥の変化である。
つまり、良い娘であり優等生だったニナが自らの純潔を殺し、自分で刺した刃にもがき苦しみながらも、どこまでも自由で孤高に美しい黒鳥へと姿を変える、その葛藤こそが見どころなのだ。
少女が自分の中の処女(比喩)を汚す苦しみ、わかんないかな?わかんないんだろうな。どうせみんないつか忘れてしまうんだろう。
「愉しみを知れ」と言うような無責任でエゴイスティックな大人が私は大嫌いだ。おじさんが言う「芸術のためのエロ」なんて私は絶対信用しない。
途中何度か姿を現す暴力的で攻撃的なニナは黒鳥としての本性。ニナは黒鳥であると同時に白鳥だった。なぜなら芸術に殉死したニナの在り方そのものを見た時、どこまでもまっすぐで誠実で純潔だからだ。
サイコホラー的な演出や猟奇的なレズセックスも刺激的で私は面白いと思った。
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