「 「白鳥だけなら君を選ぶのにな」と言ってたトマス・ルロイ(カッセル...」ブラック・スワン kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
「白鳥だけなら君を選ぶのにな」と言ってたトマス・ルロイ(カッセル...
「白鳥だけなら君を選ぶのにな」と言ってたトマス・ルロイ(カッセル)に突然キスされたときに唇に噛みついたニナ(ポートマン)。そのおかげでプリマに選ばれたのか?
最初から自分陰の部分のの幻影を見ているニナ。狂ったように幻覚に悩まされるのはリリー(クニス)からもらったヤクのせいだけじゃないのだろう。全ての幻覚の始まりは、ニナが憧れのベス(ウィノナ・ライダー)から盗んだ口紅やらナイフなどのせいじゃなかったろうか。
肩甲骨あたりにある引っ掻き傷。幼い頃からの癖で寝ている間に掻き毟っていたのだろう。そこから生えてくる黒い羽根なんてのはどことなくゴシック・ホラーだ。逆剥けをむしり取ろうとして指の根っこまで皮が剥けるとか、深爪するとか、皮膚を掻き毟るとか、足の爪が割れるとか、顔にナイフを刺すとか、まるで80年代のホラー映画のよう。
バレエに関しては完璧さを真面目に追い求めてきたプチ優等生のニナ。しかし、自分をさらけ出すべき演技に限って言えば、臆病さが邪魔して自分を解放できないままでいる。トマの唇を噛んで誘惑を断ち切ったことが、ちょっとだけ自分らしさを表現したと思われ、プリマに選ばれた。しかし、ホワイト・スワンとブラック・スワンの両方を演じ分けねばならぬ「白鳥の湖」。相当なプレッシャーだ。しかも舞台監督トマさんは、官能的という要素を加えたアレンジで芸術を追い求める。そのため、処女か?とかセックスをエンジョイしてるか?などという質問で性的抑圧から解放しようとしたりするのだ。彼女もそれに応えたい・・・そんなとき、サンフランシスコのバレエ団からやってきたリリーの存在が大きくなる。彼女なんかは背中に刺青しているし、もろブラック・スワン向きなのだ。彼女の誘いに乗ってしまい、クラブで酒を飲むことになったニナ。クスリを酒に入れてる現場を見ながらも、つい飲んでしまった。ラリってしまったので、そこで男とセックスしてしまった(よくわからないが)。その後、アパートに2人で帰り、レズプレイに走るニナ。クンニでイってしまったニナ。そういやプリマに選ばれたとき、監督からオナニーせよという宿題を与えられてたっけ。
稽古していても鏡に映る自分の動きがおかしい。自分が他にも見えるし、蹴落としたライバルのヴェロニカの顔も何度も現れる。そして、プリマの代役として選ばれていたリリーがニナの主役を奪おうとしていることに危機感を覚える。さぁ、初日の舞台。王子役のダンサーに落とされたりしたものの無難にこなし、衣装替えのために楽屋に戻り、黒鳥役を奪おうとしたリリーを刺し殺してしまった・・・実は自分の腹を刺していたというオチ。
心理スリラーなどという触れ込みだったけど、よくできた作品。妊娠したため意に反して引退したママ(バーバラ・ハーシー)も娘への嫉妬があり、プレッシャーに苦しむ彼女を精神的に追い込んでいく。公演当日に寝坊したというのに、「気分が悪いと伝えといた」だもんな。じゃ、なんで今までバレエやらせてたんだよ!(笑)
それでも一番の追い込み役はリリー。プリマを奪おうとは思ってないのだけど、自由奔放で小悪魔的な彼女の存在は、黒鳥そのもののような性格を真似しようとしていたに違いない。しかし、初日の演技は完璧そのもの。楽屋で刺したのが良かったんだな。
母親役がニナをかなり追い詰めてましたね。こんな母親は本当に嫌です。怖かった。確かにそれでいて、寝坊しても起こさないはないですね。全ての部分がkossyさんのまさにレビュー通りの映画ですね。