劇場公開日 2011年2月26日

  • 予告編を見る

「メッセージは饒舌でないほうが伝わる。」英国王のスピーチ 温故知新さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0メッセージは饒舌でないほうが伝わる。

2011年3月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

幸せ

 英国王ジョージ6世はヒトラーの演説をフィルムで観て、「何を言っているか分からないけど、とても上手だ」と評する。
 ドイツとの開戦。その勝敗の決め手となるのは国民の士気を左右するリーダーの言葉だった。

 ヒトラーを身振り手振りも含めたあらゆるテレビ的な演出で国民の支持を得ようとする。これに対して、ジョージはマイクの先に立っている、スピーチ矯正の専門家ライオネルに話しかけるようにして、なんとかスピーチをやり遂げる。
 たどたどしくやっと絞り出す声。しかし、饒舌でないその言葉に力がこもる。

 最近、テレビは本当に人のメッセージを伝えているのだろうかと思うことが多い。わが国では、短い言葉、一瞬のパフォーマンスで人気を博した首相がいたが、まさにパフォーマンスに向いているのがテレビだ。

 しかし、昔も今も、じっくりその人の肉声、本心を伝えるスピーチこそが、一国のリーダーに求められているのではないだろうか。

温故知新