「前より怖い! 格段に完成度の増した正統続編」パラノーマル・アクティビティ第2章 TOKYO NIGHT 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
前より怖い! 格段に完成度の増した正統続編
最初に本作の製作ニュースを聞いた時は「便乗か?」と思ったが、正統な続編だそうな。
前作の監督が「日本版があれば観たい」と言ったのが日本の配給会社の耳に入り、続編製作権を獲得して製作したのだとか(wiki情報です)。
「悪魔による怪奇現象が家庭用ビデオカメラに残されていた」という、いわゆる疑似ドキュメンタリー方式を採った本シリーズ。
まずは前作で不満に思った点を列挙しておく。
・そもそも『悪魔』という概念自体に恐怖を抱きづらい
・「それでも撮り続ける」という理由が猛烈に弱い
・取り憑かれてるとはいえ屋外に逃げないのは不自然
・寝返りの回数が少ない
・霊能者が役立たず!
え? 悪魔は怖くないとか言いながら、前作のレビューじゃ怖い怖いと書いてたって?
ハハハ、記憶にございませんな。
『第2章』の監督は長江俊和。僕は未見だが、彼の手掛けた『放送禁止』シリーズは疑似ドキュメンタリー方式の恐怖ものとして有名。
上記の不満点が確実に改善されている辺り、流石は先駆者といった所か。特に怪現象を記録してネット公開しようとしているらしい主演・中村蒼の“生”っぽさは素晴らしい。その姉を演じる青山倫子は序盤こそ芝居じみて見えてしまうが、口喧嘩をする様子や怯える姿は説得力十分。
さて、正統な続編なので、怪異の正体はまたしても悪魔。日本の幽霊が出ると思っていたのでそれを知った時は正直ガッカリした(ペリ監督も幽霊を期待してたんじゃないかしら)。
しかし、だ。『第2章』は悪魔に憑依された時の様子が半端じゃなく怖い!
カタカタとしたギプス歩行。感情の失せた表情。彼女が直立した時の衝撃といったらもう……。
前作の悪魔には人格のようなものが窺えたが、今回は不条理で無機質。周囲への理不尽な被害も相俟って、『得体が知れない』『手に負えない』という印象からくる恐怖は前作より格段に増している(これは僕が日本人だからというのも当然あるかもだが)。
前作同様のラストを迎えるかと思いきや、遂に主人公が屋外に飛び出す展開はクライマックスに相応しいし、その後の衝突シーンについてもしっかり伏線が張られている。
必然的に後出しジャンケンであるとはいえ、話の構成・演出・恐怖度はきっちり前作を越えている。
ああホント、逃げ出したいくらいに怖かった……。もう勘弁して……と思ってたら、米国版の『2』が来年公開!?
もうこりごりだよ!!
<2010/11/20鑑賞>