「フクロウは死ぬとき毛玉を吐く」BIUTIFUL ビューティフル kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
フクロウは死ぬとき毛玉を吐く
クリックして本文を読む
冒頭とエンディングに出てくる謎の青年、「フクロウは死ぬとき毛玉を吐く」などというウンチクを語る。対峙して聞くのは主人公のウスバル(バルデム)。海の音と風の音を聞き分けることも意味深だ。写真でしか知らず、実際に会ったことのない父親。そんな父親はフランコ独裁政権に嫌気がさして国から逃げた。死ぬ間際に父親に会えるということも彼の長年の夢だったのかもしれない。
自由になったハズのスペイン。しかし、不法移民が職を求めてあえぐ姿。そんな彼らに仕事を斡旋してピンハネするというのがウスバルの仕事だ。時にはヤバい仕事もあったが、警官にも賄賂を贈り、家族のためにコツコツと稼いでいた。妻はヤク中のため施設に入れられたこともあり、別居状態。しかし、彼が余命2ヶ月と診断されてからは、二人の子どもたちの面倒を見させるようになる。
死にたくない!というのが本音なのだが、身辺整理を余儀なくされる。特に可哀そうな労働者の妻や、子どもたちのベビーシッターをしてくれた中国人少女リリなど。貧乏な生活だが、そうした金はしっかり貯めている様子もわかる。
順調に死にゆく道を歩み始めた主人公だったが、建設現場で働かせていた中国人20数名が元締めの住居の地下で一酸化炭素中毒で大量死してしまった。生きている間に綺麗に身辺整理したかったのに、無情にも不幸のどん底へと向かう主人公。よかれと思ってやることもすべて裏目。そんな中にあっても子どもたちだけには愛されながら死にゆくところがいい。
コメントする