BIUTIFUL ビューティフルのレビュー・感想・評価
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現実はこういうものでは。でも救われる。
鑑賞前のイメージと異なり、
・残された家族に何かを残せたわけではない。
(少なくともわかりやすいものではない。)
・行動の結果が報われるわけではない。
現実は映画のようにわかりやすい形で実現できるのではなく、頑張ってできることはこんなものなのではないだろうか。
それでも残念感がさほどなく、むしろ清々しいのはなぜだろう。
最初の森での場面はそういうことだったのね。
主人公が救われ、本当に良かった。
*死期迫る主人公の演技はとてもリアルだった。
*「BIUTIFUL」だったんだなタイトルのスペル。映画観るまで気付かなかった。。
誰も言わないので言います
この映画、主人公が報われないとか、胸が苦しいとか、人生の厳しさを表しているとか、それでも懸命に生きていく大切さを伝えているとか、残酷で不幸なシーンだが美しかったと言った的外れか、見たままを意味ありげに言ってるだけのレビューが多く、テーマを伝えられていません。なぜこの映画が素晴らしいのかを知って貰いたいのでレビューしました。
作中ではウズバルを含む全ての登場人物の利己的な損得や快楽による行為は報われません。それは、それらの行為を嫌悪感や残酷な帰結によって否定することで本当に伝えたいことを浮かび上がらせるために敢えて行なっている技法です。そのためその“技法”としてのストーリーに対して感想を言っても意味がありません。では、本当に伝えたいものとは何なのか。
ウズバルは死者達の声を聞くことができます。彼らは死後もウズバルの身近に存在し続けるので忘れることはありません。一方でウズバルはそのような能力がない人たちが、いかに死者を簡単に忘れていくのかを知っています。彼が娘に「自分を忘れないで欲しい」と切に訴えるのはその能力ゆえです。
作中を通して、ある種の行為が否定されると同時に、物質やお金は何も解決せず、誰も満たすことはありません。終盤にかけてウズバルが死に近づくほど、あらゆる行為やものが削ぎ落とされて最後に何が残るのかが見えて来ます。
ウズバルの娘は偽物の宝石を「綺麗だ」と言いました。他人が決めた価値ではなく、自分の目で美しさを決める事ができる事の現れです。
脳機能科学では、人は失敗した時に最も事柄を記憶すると言われています。ウズバルの娘はいつか、父から教わった“Buitiful”と言うスペルが間違っていた事に気づくでしょう。これがウズバルにとっての救いとなります。
彼女はその後の人生において、“Buitiful”な事象に遭遇する度に、その美しさとともに父の事を思い出すはずです。ウズバルの願いは彼が思いもしなかった方法で叶えられる事になります。
ウズバルの顔にbuitifulの文字が並ぶタイトル写真にもこのメッセージが表れています。
I saw this film once more than 10 years ago and still this is the best movie for me.
I haven’t seen anyone in Japan who tell about the heart of this film.Showing the hard part and difficulty of life is a method but a purpose.
It’s just saying that all the effort done by Uxbal and others by money or act for only themselves did not make any success.Saying how terrible each scene means nothing which is the mainstream of film review in JP.
Many people saying that this is sad story showing how life is hard but still we need to carry it on. It not the heart. Uxbal asked his daughter to remember him after his death.
We know his daughter is the one who understands what real beauty is(she thinks the ring Uxbal gave her is beautiful.She doesn’t care it’s real diamond or not)
In a view of brain functional science, people remember something most when they fail.
His daughter will find, after his death, that the word “buitiful” Uxbal though her is a misspell.
This is a relief for Uxbal because every time his daughter comes across any “buitiful” things and moments in the rest of her life, she automatically remember her father with the beauty.Uxbal’s hope is achieved in the way he did not intend. As a father of 2 little daughters after 10 years I saw this film, I think this is one of the greatest way to be remembered by my daughters after my death.
I love and respect this film because of this.
【ハビエル・バルデム演じる霊媒師ウスバルの哀切な姿が忘れがたい作品。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督が”21グラム””バベル”を経て、ステップアップした作品でもある。】
スペイン・バルセロナが舞台である。
が、今作では観光都市の側面は一切描かれない。
厳しい日々を送る人々の姿が、暗いトーンで描かれる。
主役は、妻と別れ幼い子供二人と暮らすウスバル。(ハビエル・バルデム)定職につけず、社会の底辺の生活を送る日々。
だが、身体の不調を覚えた彼に告げられた非情な宣告。
ウスバルは宣告を受け、薬物に走ってしまった妻マランブラ(マリセル・アルバレス:アルゼンチンの舞台女優さんで、今作が映画初出演。退廃的な雰囲気を身に纏う姿が魅力的であった。残念ながら、今作以降映画には出演していない・・)と残された時間の中でもう一度、家族の絆を取り戻そうとするが・・。
ウスバルが出稼ぎの中国人たちのために、良かれと思って行った事が、悲劇を招いてしまう。
劇中、明らかには描かれないが、ウスバルは彷徨える死者の魂と交信することができる霊媒師という設定が効いている。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督はその設定を前面に出さずに哀しき物語を描きだし、観客に”あるメッセージ”を発信する。
<厳しい状況の中で、残された時間の中で”生きる”という意味を見る側に鋭く問いかけてくる作品。決して楽しくはないが、見応えがあった作品である。>
<2011年9月8日 劇場にて鑑賞>
それでも、懸命に生きた男のたどり着くところ
黒澤監督『生きる』にインスパイアされ、オマージュをささげた場面を挟む本作。
『生きる』は、志村氏の鬼気迫る演技と、構成が見事で、唯一無二の作品になったが、
本作は、プロローグとエピローグが特に秀逸であるものの、基本的にひたすら時系列で進んでいく。
主演のバルデム氏は、様々な表情を見せる。慈愛に満ちた温かさ・愛おしさ。怒り。嘆き。後悔。懺悔。すがりつき、哀願し、彷徨い。~~、空ろな眼。賞受賞も納得。
周りを囲む役者も見事。一人として替えがきかない。
”死体”としても演技させているよ。驚愕。
これでもか、と次から次に起こる出来事に振り回され、その展開でも”生きる”ということを考えさせられる。これだけ盛り込んでいるのに、脚本がぶれない。
時系列的に進んでいく物語の中で、さりげなく背景にこれから起こる予言のようなシーンが挟まれていく。
決して、”美しい”とは言えない映像が、なぜか忘れられぬものになる。
時折挟まれる音楽も、この映画を印象付ける。
それらが見事に融合して、同じテーマを扱い、死にゆく男を描いているが、まったく別の、唯一無二の映画となった。
何をしても、努力しても、歯車がうまくかみ合わぬギシギシという音が聞こえてきそうな暮らし。
やっていることは犯罪なのだが、必死に生きる術を行っているだけ。
せめて、まともな生活ができる人に育てようと、子どもにマナーを、教育を身に着けさせようと心を配る姿が何度も描かれる。のに、娘に教えことができる綴りが「biutiful」なのが、胸をえぐる。
福祉については正面切って描かれていないが、ああ、彼らにとっては何の手助けにもならぬのだろうという雰囲気がひしひしと伝わってくる。
そんな状況に身を置くウスバルの生き様をひたすら追っており、同時に社会の闇の部分もあぶりだす。
その中で際立つ”家族”という存在。
血のつながりがあっても当てにならない家族。
”愛人”にかき回される家族。
そして、血のつながり以外のところでの助け合い。けれど、それとて、なんともろいことよ。
メンターは心の支えにはなるが、家賃は払ってくれない。
信頼できる人に託せたとしても、親族がどう動くか。
「梟は死ぬとき毛玉を吐くという」映画の中で3回出てくる。
死んだ息子の言葉を知りたがる父親。
父から子へ。子から父へ。
ラスト、ウスバルの表情がいつまでも心に残る。
傑作です。
フクロウは死ぬとき毛玉を吐く
冒頭とエンディングに出てくる謎の青年、「フクロウは死ぬとき毛玉を吐く」などというウンチクを語る。対峙して聞くのは主人公のウスバル(バルデム)。海の音と風の音を聞き分けることも意味深だ。写真でしか知らず、実際に会ったことのない父親。そんな父親はフランコ独裁政権に嫌気がさして国から逃げた。死ぬ間際に父親に会えるということも彼の長年の夢だったのかもしれない。
自由になったハズのスペイン。しかし、不法移民が職を求めてあえぐ姿。そんな彼らに仕事を斡旋してピンハネするというのがウスバルの仕事だ。時にはヤバい仕事もあったが、警官にも賄賂を贈り、家族のためにコツコツと稼いでいた。妻はヤク中のため施設に入れられたこともあり、別居状態。しかし、彼が余命2ヶ月と診断されてからは、二人の子どもたちの面倒を見させるようになる。
死にたくない!というのが本音なのだが、身辺整理を余儀なくされる。特に可哀そうな労働者の妻や、子どもたちのベビーシッターをしてくれた中国人少女リリなど。貧乏な生活だが、そうした金はしっかり貯めている様子もわかる。
順調に死にゆく道を歩み始めた主人公だったが、建設現場で働かせていた中国人20数名が元締めの住居の地下で一酸化炭素中毒で大量死してしまった。生きている間に綺麗に身辺整理したかったのに、無情にも不幸のどん底へと向かう主人公。よかれと思ってやることもすべて裏目。そんな中にあっても子どもたちだけには愛されながら死にゆくところがいい。
絶望とは
非現実的なまでに楽天的な映画は数多くありますが、ここまで非現実なまでに悲観的な映画はそうないのではないでしょうか。
詳しくは言えませんがどうしようもない不幸がどしどしやってきます。
その中で主人公はもがき戦います。
その中に、ありがちな絶望や諦め、安っぽいポジティブなどは一切ありません。ただ必死に問題をどうにかしようとするのみです。
観賞する側にも、相当な覚悟とリテラシーが要求される映画だと思います。人間の強さと愛が、どうしようもなく染み付いているから撮れる、また観れらる映画だと思いました。
演技も本当に素晴らしかったです。
不法移民のセネガル人や中国人にグレーな仕事を斡旋する貧しい中年男。...
不法移民のセネガル人や中国人にグレーな仕事を斡旋する貧しい中年男。いつも陰気で笑うこともなく、時に苛立ちをぶつけるそんな男が主人公ではあるのだけれど、実は誰に対しても優しい愛情をもって接していることに気づかされる。
心の病を抱える不安定な妻。不法滞在で集団で違法行為を行う中国人やセネガル人。弟の妻と知りながら不倫を重ねる兄。けっして褒められたことをしていない人々にそっと寄り添いながら、一方で、利用し、搾取し、傷つけてしまう自分にやりきれない気持ちを感じている。
うんざりするほど陰鬱な現実を投影するかのような、どこまでも暗い色のない世界で、子供たちと触れ合う時間の優しさが胸を打つ。心の奥底で求め続けた父と再会する楢の林の美しさ。あれが父との優しい記憶が眼前に表した奇跡ならば、あの風景で全てが救われたような気がする。
自伝的映画
ラストに出て来るテロップで、イニャリトゥ監督の父親に捧げる映画だったのかな。園子温の「ちゃんと伝える」も父に捧げる作品だったがものすごく変な映画で、これもものすごく変な映画でした。私情が挟まると伝えたい事が増えてしまうのだろうか❓
バルセロナの貧困街でのウスバルにはとにかく問題山積。そんなウスバルの一縷の望みは、家族、中でも一度も会ったことのない、墓に眠る実父。その実父に会えるんだから、変な映画。
不法移民のセネガル人達、中国人の一団や、不安定な元妻、お調子者な兄と、皆んな救いようが無い人達ばかりだが、ウスバルと実父との邂逅に全て救われるような気がする。
他のイニャリトゥ映画とは少し毛色が違う作品でした。
背負った重荷
本作からイニャリトゥは一人の男を描く方向性で孤独に苦悶し苦闘する男の共通性がある。
何もかもがギリギリの状態の中、絶望的で這い上がる術もなく子供たちに遺せる何かは微々たるモノで。
家族で食卓を囲むシーンが多く唯一ソコが和める所でセネガルからの移民の母子に希望が託せる。
スピリチュアルな部分を前面に押し出さずに寧ろ意味ある?位な感じが良いバランスで。
希望はある美しい物語。
アントン・シガー
深い悲しみ、強烈な喜び、生き抜く逞しさ、思惑の鋭さ、生きている瞬間、残された者、去り行く者、死に行く瞬間――。どんなに激しい過去を生きようが、又は どんなに極端な未来が待ち構えていようが、自らが置かれた(自らが求めた とも言う)環境、時代、境遇の中で、その場所に、その時に感じる 感 情 の み に 支 配 さ れ る 感 覚。
才気 溢れる監督 Alejandro Gonzalez Inarritu 渾身の一撃に私は もう足元が ぐらぐらです!!!!
アントン・シガっ…、ぢゃなかった(←ワザト デス/笑) Javier Bardem の雄弁な全身から発せられる体臭は主人公 Uxbal の感情にきっと近い、剥き出しの気持ちを運んでくれる。何度でも感じたい、普遍的な魅力に満ちた傑作。
絶望の中にも
妻と別れ、幼い2人の子と暮らすウスバル。
養う為に、時には裏社会の仕事も請け負っていた。
ある日、余命宣告を受け…。
監督が黒澤明の「生きる」に影響を受けて作ったらしく、ヒューマニズム溢れる感動作かと思うと大きく覆される。
受け止め切れない程の重みを放つ。
ウスバルを取り巻く環境は決してイイとは言えない。
生活は貧しい。裏社会の仕事は常に綱渡り状態。
そんな時、突如として宣告された死。
死に恐怖し、絶望する。
しかし、絶望の中にも光はあった。
愛する2人の子供。
ウスバルは子供たちの為に生きようとする。
映画は父と子の湿っぽいお涙頂戴ドラマへ媚びようとはしない。
裏社会の仕事は犯罪映画のような緊張感が張り詰める。
ヒリヒリとした苦しさ、厳しさ、辛さ…。
絶望の中の微かな光に、人生や救いを問いかける。
どんな映画に出ても圧倒的存在感を放つハヴィエル・バルデム。
今作での演技は、オスカーを受賞した「ノーカントリー」の時以上。
強さ百万倍。
名画座にて。
タイトルはビューティフル(スペルは違うけど^^;)だけど、
中身はとてもビューティフルとは思えぬ暗い作品だった。
ハビエルさん、亡くなる役柄が多い割に元気なんだよねぇ。
彼の目力といい、身体から発する活力といい、演技といい、
優しさ有り余って強さ百万倍。という感じで非常に逞しい。
でもしかし、彼のような境遇で生きていれば、
何が何でも強くならねば生きていかれないのだろうと思う。
冒頭の森のシーンは、何だったんだ??と不思議だったが、
だんだんとあれが誰だったのか、何を意味していたのかが
分かり、少なからずの感動を覚える。
しかし如何せん、映像といい音源といい(ワザとでしょうが)
終始状態が悪い~といった感じで観やすくはない。
生きる(にオマージュを捧げてるらしいが)意味での雑多な
ストーリー構成は、良くも悪くも臨場感を生んではいるけど、
違うアプローチでも観たくなってくる不思議な作品。
ダイヤの輝きがいっそう際立つのは、だからかもしれない。
(死者が見えるシーン、一瞬何の映画かと思ってしまった^^;)
美しい最期。
開始序盤に「ん?これって霊との対話?オカルト?」的な描写があって、それで直ぐに分かるんですけど、ハビエル・バルデム演じるウスバルは霊能力者という設定なんですよね。だからストーリーもそっちに引き摺られるのかな、と思いきや、その考えは浅はかでした。
勿論、それも重要なファクターではあるんだけども、物語の重きはそっちじゃなくて。スーパーナチュラルで解決出来る程、リアルは決して甘いモノでは無くて。
裕福とは呼べず、問題だらけの環境で、慈愛に満ちた男が、余命僅かの中、家族と仲間を守ろうとする―その生き様なんですね、話の軸は。淡々と、それでも情熱的に。聖人の如く。
彼の詳しい生い立ちは分からないし、何故、今の様な苦境というか、まるで底辺を這う様な生活をしているのか、犯罪紛いの仕事に手を染めてるのか、詳しい説明はないです(彼の父母の話や妻との馴れ初めなんかは出てきます)。
まあ、冒頭の巧みな注射捌きで、どういう人生だったのかは、微妙に示唆されたりしてますけども。
でも、そこは問題じゃなくて。
この状況をどう打破すべきか、どうやったら皆が幸せになれるのか。彼の行動原理がほぼ自己犠牲。それが兎に角、胸を打つ。
なのに、彼の努力はいつも空しくて、状況はどんどん悪くなる。それと反比例するが如く、画面一杯に広がる空の色や雪景色、街並はやたらと美しくて。この、皮肉。
やがて犯してしまう、致命的で取り返しの付かないミス。
何も解決せず、山積する放り出された問題。
誰も救済できない最後。
最期。
ああ、それでも彼は救われたのか、と。
天国は、誰にも平等に美しいのか、と。
静かに、さり気なく張られてきた伏線が、ここに全て帰結してる。
本当に良かった。世界はやっぱり美しいんだ。彼は肯定されたんだ。
素敵な結末に、涙がそっと浮かびました。
自業自得じゃん・・・
2.5時間の長丁場。
寝ちゃいましたよ。。。
色々、辛い出来事が襲ってはくるけど、「自業自得じゃん」と思ってしまった。。。
あんな女房を選んだのも、中国人が死んじゃったのも、アフリカンの友達が強制送還されたのも!
でも、一番のがっかりはこの作品の良さが分からなかった自分だな。
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