ペーパーバード 幸せは翼にのってのレビュー・感想・評価
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スペイン内戦を背景に、時代を生きた芸人たちの苦悩を描く。 戦争とは...
スペイン内戦を背景に、時代を生きた芸人たちの苦悩を描く。
戦争とはどんなに深い繋がりでも簡単に引き剥がす。むなしい。
鑑賞日:2015.1.27
腹話術の人形
9歳のミゲルは両親を内戦で失った孤児。簡単すぎる手品を披露し、劇団の仲間になろうとするが断られる。そこでエンリケが面倒を見ることになり、1年ぶりにホルヘと再会。やがてミゲルをも参加させ芸人活動をする。なかでも腹話術の人形のような役を与えられたミゲル。戦争も終わり、地味に活動を続けるが、ミゲルの盗癖は治っていない。やはりこれも戦争の爪痕だろうか・・・
地方巡業も順調だったが、軍人が常に内偵を続ける劇団。なにしろ反体制派の連中ばかりなのだから。そんな折、フランコ総統が劇団を観るという情報が入り、団員の数人が色めきはじめる。しかし、ホルヘは息子のようなミゲルに対し親子の愛情を感じ始めていたため、フランコを撃つことより逃亡して幸せに生きることを選ぶ・・・
かつての反体制仲間に用意してもらったニセ旅券などで南米へと旅発とうとするが、ホルヘだけ軍人に撃たれてしまう・・・最後は「パパー」と呼ぶミゲルによって感動するんだけど、どうも反体制派の人々の生き様が描ききれてないので、完成度はイマイチ。最後には紙で折った鳥がいっぱい落ちてくる・・・あ、16歳の少女メルセデス(アナ・クエスタ)の描写もイマイチ。
悲しげな
TSUTAYAさんの「ラストは必ず泣ける」という触れ込みで観てみましたが、悲しすぎて泣けません。
芸のこやしに悲しみは必要だったのかもしれませんが、アホな軍人に振り回される貧しい民間人のお話しなんてせつなすぎです。
感動に包まれる予定がしっとり空模様に・・・TSUTAYAさん、頼みますよ。
屈託のない少年ミゲルに癒される
まず少年ミゲルを演じたロジェール・プリンセプの丸い顔と丸い瞳に惹かれる。
映画は、喜劇役者のホルヘが、貧しいながらも親子3人の幸せな家庭を爆撃で失ってしまうという悲話でスタートする。
同じ内戦で孤児になったミゲルの、逆境に負けず、大人相手に物怖じしない明るさは救われる。
ところがホルヘはミゲルを遠ざける。亡くなった息子への想いが、屈託のないミゲルに対して怒りに似た感情に火をつけてしまうのだろう。
その切なさゆえ、ホルヘは舞台でフランコ政権に対する風刺をエスカレートさせてしまう。
そんなホルヘを監視するために軍が劇団に内偵者を送り込んだり、その上官がネチっこいワルで劇団の娘につきまとい、裏では反体制派の暗躍がうごめく。
ホルヘがミゲルに心を開いていくストーリーと相まって、映画として見どころが多い。自分がスペインの近代史に明るかったら、もっと深く楽しめただろうと思うと残念。
ラストは“ホクロ”と歌がポイント。“ホクロ”は母を、歌は父を象徴する。どちらもミゲルの宝物。ミゲルの心を支えてきた両翼だ。
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