「冒頭のナレーションが全てかと。。」エル・トポ RYOさんの映画レビュー(感想・評価)
冒頭のナレーションが全てかと。。
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ジョン・レノンや寺山修司が絶賛したとされるこの映画、グロテスクともいえる美しい映像と強烈なメッセージが印象的です。
エル・トポとはモグラのことで、太陽を求めて生きるが、太陽を見ると目を失う。
冒頭のこのナレーションが全てを表すように、天才的な達人ともいえるガンマンたちに戦いを挑み、卑怯な手段で勝ち進むものの、最終的には自分の引き起こした結末に絶望し、自ら命を断つという悲劇的なストーリー。
ある一人の達人、老いた姿であるにもかかわらず、ピストルの玉を虫取り網で取ることができ、いくら撃っても取られてしまう。
老人は問う、なぜ戦うのかと。
主人公が答える、あなたを倒して最強になりたいのだと。。
老人は、あぁそんな事が望みなのか、それなら簡単だと自らの心臓を撃ち抜く。
死にゆく最後に主人公に問いかける。これで満足かと。
人は、希望を持つことが大切で、それが叶うかどうかではなく、その希望に向かって生きることが大切なのだと。
希望の先に幸せが待っているのか、それとも不幸があるのか、それは誰にもわからないが、人は希望なしには生きられないのだと。
後半のフリークスを穴倉から解放した結末は、現在では倫理的に許されない表現になっていますよね。
逆に、表現の世界までも、一般常識的な倫理感で批判する現代もどうかと思いますが。
美しい映像と、メッセージの強さが長く記憶に残る名作だと思います。
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