劇場公開日 2011年1月15日

「いろんな視点から」その街のこども 劇場版 grassryuさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0いろんな視点から

2011年1月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

幸せ

「世間知らず」さんのレビューもとてもすばらしいと思いますし、劇場版のホームページに掲載されたコメントにも感動のさまが伝わってきます(僕もちょっと書いていますが、他のかたのものにくらべて艶っ気の乏しい、とても拙いものになってしまいました)。その一つ一つがそれぞれのかたがピックアップした、ちょっとした情景、森山未来さんと佐藤江梨子さんの絶妙の掛け合い、森山さんのセリフ、佐藤さんのセリフ、などなどから多角的に論評されているのです。テーマにしているポイントが一人一人、全く違います。びっくりするほどです。

淡々とした街歩きをベースにしたとても静かなものにもかかわらず、ワンシーンすらゆるがせにできない、息の抜きどころのない濃密な展開で進行していきます。
そして、佐藤さん演ずる美夏の心のくさびをとり放ったイベントを経て、進行は一気に加速しつつ軽やかなものとなり、そしてこの上もなく爽やかでふくよかなラストシーンをむかえることになります。

全編これスタティックの極みなのに、この印象的なラストによって、前段の重々しい進行の中のひとつひとつのイベントが各人の感性や人生経験の違いにより、異なったシーンに逆方向的に印象づけられ、評する者すべての個性を引き出すことに奏功していると思われます。

こういうのが、とても完成度の高い、素晴らしい映画というものなのでしょうね。

としかコメントしようのない、感性や人生経験に加え才能にも乏しい僕なのでした。5点より落とす気は、さらさらありません。

grassryu