「壺じゃないもん!」しあわせの雨傘 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
壺じゃないもん!
名画座にて。
ドヌーヴの赤ジャージ姿とホットカーラー頭(彼女の発案らしい^^;)に
やられてしまった男性陣が果たしていたのか!?とやや不安になる作品。
「シェルブールの雨傘」の頃と比べるとかなりの貫録!が出た彼女だけど、
気強い上品さはホント変わらない…。美しいなぁ、あの立ち居振る舞いv
実は監督名を見るのを忘れていた。…オゾンだった^^;あ~やっぱり。
下半身の節操のなさをしつこく見せる姿勢、そして多大なる女性賛歌、
早く気付くべきだった…。まぁ冒頭のウサギの交尾場面で分かりますよね。
しかしシェルブール~なんて吹っ飛ばされたかのようなこのコメディ。
物語は二転三転、ドヌーヴが飾り壺(のようなつまらない主婦)からいかに
変貌を遂げるか、がこれまたしつこく!描かれていきます。
オゾン大好き!しつこいのが大好き!な人には超お薦めのストーリー。
キャストがまたいいんだわ^^;
彼女の夫・ピュジョルに嫌味なまでに面白い顔と演技のF・ルキーニ。
彼女の元恋人議員・ババンにマトリョーシカみたいな体型のJ・ドパルデュー。
娘にまだまだ美人のJ・ゴドレーシュ、息子に演技派のJ・レニエ。
ブルジョワ主婦にすぎなかったお飾り妻が、夫の代理で任された傘工場の
立て直しを独自の方法で成功させ、いよいよ本能に目覚めていくお話。
舞台が'77年…だから、まだまだ階級格差が大きく男尊女卑な時代。
M・アントワネットをもじった皮肉をいうシーンも描かれ、あぁそんな
時代に女が実権を握る、ってすごいことだったんだよな~と素直に感動。
女が男を凌いでいく姿に貫録のあるドヌーヴは体型からして打ってつけ。
対して娘は、母親を裏切ってまで夫を立て続ける妻だったりして…^^;
なんというか、こういう女同士(しかも女じゃないと分からない感情)の
やりとりが巧いのよねぇ~この監督。やはりゲイだと分かるのかしら。
ドヌーヴが実権を握り、ハッピーエンド!かと思ったらまた一悶着、
貞淑な妻だとばかり思っていた彼女の過去が露呈されて^^;
あれれ…と思っていると終盤で爆弾発言、で、また一悶着、最後は
ドヌーヴ祭り!!で幕を閉じる…という、ドヌーヴと女性のための作品。
(あ、傘も出てきますよ?少しですが。けっこうお洒落です、少しですが^^;)