ラスト・ターゲット : 特集
「マイレージ、マイライフ」「フィクサー」「グッドナイト&グッドラック」ほか、彼が関わっていることが映画ファンにとっての“安心印”でもあるジョージ・クルーニー。そんな彼が世界的フォトグラファー、アントン・コービンのメガホンのもと、これまでにないハードボイルドな役を熱演。イタリア山間部の美しく小さな町を舞台に描かれる、孤独な殺し屋最後のミッション。7月2日公開「ラスト・ターゲット」の見どころに迫る!
ジョージ・クルーニーがハードボイルドにキメる!
“高品質要素満載”スタイリッシュ・サスペンス!
■ジョージ・クルーニーの“新たな魅力”が満載!
イタリアを舞台に繰り広げられる最上の愛と最後のミッション
孤高の暗殺者、ジャック──背中に羽ばたく蝶のタトゥーを持つこの男は、これまでに数々の暗殺や謀略を繰り返し、もはや疲れ果てていた。潜伏先のスウェーデンで何者かに命を狙われた彼は、ローマの街で組織の連絡係と落ち合い、新たな潜伏先として、イタリア山岳部のかつての城塞都市カステル・デル・モンテに流れ着く。町のベネデット神父と語り合い、そしてなじみの娼婦クララと愛を育んでいくなかで、生まれて初めて人として満たされていく喜びを知るジャック。だが、引退を決意する彼の前には、組織から依頼された“最後のミッション”が横たわっていた……。
“大人の男”を演じさせたらハリウッド屈指、「マイレージ、マイライフ」「フィクサー」「オーシャンズ」シリーズで、女性のみならず男性までを魅了し続けてきたジョージ・クルーニーが、従来の台詞回しの妙を封印して、心に傷を負った寡黙な暗殺者役に挑む。美しい町の静かな空気の中にいながらも醸し出す、張り詰めた緊張感と最後の仕事に淡々と向き合っていくストイックさ。これまでクルーニーが演じてきた役柄にはなかった新たな魅力=研ぎすまされたハードボイルドを満喫できる1本だ。
本作でクルーニーは、主演だけではなく製作にも名を連ね、全米初登場で見事No.1を獲得。映画監督、プロデューサーとしての顔も持つヒットメーカーとしての才能が、また証明された。
■U2、デビッド・ボウイ、ビョークほか
有名アーティストを撮り続けたアントン・コービンが描く“映像美”
イギリスの作家マーティン・ブースの「暗闇の蝶」を、本格サスペンス・ドラマとして撮り上げたのは、U2、デビッド・ボウイ、ビョークらを撮り続けてきた世界的なフォトグラファーであり、彼らのPVディレクターでもあったオランダ出身のアントン・コービン。スタイリッシュな画面構成や、陰影鮮やかな色彩感覚で鳴らし、監督デビュー作「コントロール」は、07年カンヌ国際映画祭カメラドール特別賞に輝いた程だ。その手腕は、本作「ラスト・ターゲット」でも存分に発揮され、イタリア山岳部の風景や石造りの町、そしてジャックの生きざまを象徴する光と影までが切り取られ、美しい映像として重ねられていくのだ。
アメリカ人俳優が主演するアメリカ映画でありながら、コービン監督によって描かれる世界は、趣豊かなヨーロッパ映画の香りに満ちている。
■監督、出演者、製作陣が惚れた!
美しい中世イタリアの姿を残すロケ地=“カステル・デル・モンテ”
物語の舞台となるカステル・デル・モンテがあるのは、ローマの東に位置し、アペニン山脈のふもとからアドリア海に向かって広がる山間地帯、アブルッツォ州。コービン監督は、「映画ではめったに目にすることができない正真正銘の自然環境だ」と、人里離れた場所に拡がる壮大な景色を絶賛する。この意見には、ジョージ・クルーニーはもちろん、製作元のフォーカス・フィーチャーズも「アブルッツォを選ぶしかない。この作品にはあそこのような美しい舞台が必要だ」と口を揃えたという。
スルモナ、カラーショ、アンベルサ、カステルベッキオ、パチェントなど、中世のたたずまいを残すアブルッツォ州各地でのロケでは、コービン監督はカメラを持ち歩き、本編には登場しない“スナップ写真”を数多く撮っている。生粋のフォトグラファー心を刺激したロケ地は、本作のもう1つの主役に違いない。