「小さなスケール感のほっこり癒し系の作品」森崎書店の日々 ringoさんの映画レビュー(感想・評価)
小さなスケール感のほっこり癒し系の作品
いつも行く映画館で、超大作ではない作品を2週間程度の短期間だけ上映することがたまにあって、この作品は予告編を観て気になっていました。
残念ながらレイトショーの時間帯にはやっていないので、やむなく日曜日の昼間に1800円払って観に行きました。思いのほかお客さんが多くてびっくり。こういう渋い作品を観るなんて、きっと映画好きの人たちなんでしょう。
失恋して会社を辞めた女の子が、おじさんが経営する神保町の古本屋で住み込みで働く話で、小さなスケール感のほっこり癒し系の作品。私も昔は古本店街ときどき行ってたのですが、あの古本屋独特の匂いとか、商売っけがガツガツ前面に出てこない雰囲気とか思い出して、また行ってみたくなりました。
主人公演じる菊池亜希子さん。申し訳ないけど、見たことも聞いたこともない女優さんでした。ふと長澤まさみっぽく見えたり本上まなみっぽく見えたりする人で、整った顔立ちだけどちょい地味めで、古本屋が妙によく似合っていました。演技も、うまいんだか下手なんだかちょっとよくわからない…。もともとは雑誌のモデルさんのようです。まだ女優としては原石なのかな。今後に期待。
おじさん役の内藤剛志さんの、何だかとても普通のおじさんっぷりはよかったと思います。主人公の女の子の、役柄上の空虚な気持ちと、若干フワフワした演技を、全部このおじさんが支えていた感じ。この手の映画は、登場人物が若者たちだけだと、頑張るにしても諦めるにしても全てが若気の至りっぽくなってしまうのですが、この作品は内藤さんはじめ大人たちがちらほらといい存在感を放っているので、古本の街とも相まって、いい意味で枯れた感じになっていたと思います。