「色と暗闇」わたしを離さないで ミアさんの映画レビュー(感想・評価)
色と暗闇
人は皆“終了”する、
“生”を理解することなく命は尽きる
わたしたちが救った人々と、わたしたちと何が違うの…
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失くしてしまった物が見つかるという、
荒れ果てた草原の中で
キャシーの、問いかけは続き
そして彼女は、自らに課せられた生を全うするため
トミーもルースもいない世界へと戻っていく…
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カズオ・イシグロの作り出した異質な世界に、
映像が実態を与え
音楽が控えめに心の起伏に寄り添う。
監督がワビ・サビを意識したと言うとおり
タイトルバックと、
少し古めかしい服装には、
露草色・芥子色・浅縹色・藍鼠色など
日本古来の美しい色が使われている
原作を読んでからDVDを見たが、
本を読んで描いていた風景と、
映像があまりにも似ていたのに驚いた。
脚本は主役3人の心情に的を絞り
物語の核になる部分のみを組み替えて
すっきりと纏められている。
無数の命を頂いて生かされている私達
これは、私達が選んでしまったかもしれない世界、
決して選んではいけない世界だ。
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